現場からの報告…5 「絵本フォーラム」27号・2003.03.10 |
最近、育児に参加するお父さんが増えてきています。その中の活動の一つとしておやじの会があります。今回は「楽しい絵本の読み聞かせを、お母さんだけのものにしないでお父さんもやりましょう」を合言葉に始まった「お父さんの絵本読み聞かせ隊」をご紹介します。 |
「お父さんの絵本読み聞かせ隊」 | |
地元で行われたある「少子高齢化を考える」という研修会に参加した時のことです。2日間の研修が終わって、最後の日の午後に参加者の班別による討論会が行われました。少子化対策として、男性の育児参加が話題になりました。私は、意気揚々と「家庭では子どもを風呂に入れたり、寝る前に絵本の読み聞かせをしたり、食器を洗ったりと家事・育児は、同世代の男性に比べればかなりやっている方だと思う」と発言しました。すると、参加者のお母さんが一斉に「それは、いいとこ取りというのです。」「そうよねえ、お風呂や読み聞かせは、子どもとの楽しい部分だから」と強く反論されてしまい、私は一気にしょぼくれてしまいました。帰宅して、そのことを妻に話すと「同感・同感」と笑いながら言うのです。 実は、私の無意識の意識に「やってあげている」というものがあったのです。確かに同世代(40前後)の中では、家事をやっている方でした。しかし、「本来やらないものをやってやっているんだ」という気持ちが私の中にあったのです。妻はそれを感じていて「それがいやだ」と言います。前述の討論会でも、私の「やってあげている」という無意識の意識を参加していたお母さんたちに見破られていたのだと気づきました。 さて、そうは言ってもお父さんが、「男女共同参画社会」の推進において、家事や育児にどれだけ関わっているか。世代によってもかなり違うようですが、まだまだこれからという状態です。私たちで立ち上げた「お父さんの絵本読み聞かせ隊」は、「お父さんも育児に参加しましょう」、「楽しい絵本読み聞かせをお母さんだけのものにしないで、お父さんもやりましょう」を合い言葉に結成しました。 絵本の読み聞かせは、忙しいお父さんでも、やる気を出せば「短時間で、しかも誰にでもできる 」子どもとのスキンシップの時間です。私の子どもがまだ幼い頃、仕事が忙しく帰りが遅い時が続きました。そんな時でも、私が帰るまで子どもは寝ないのです。そこで、帰ってすぐに絵本を読んで寝かしつけた時期がかなり続きました。絵本読みを始めて気づいたことですが、絵本は大人が読んでも奥深くおもしろいものがたくさんあります。自分が勇気づけられるものや改めて考えさせられるものもあります。童心に帰って登場人物になって楽しく時間を過ごせるものもあります。子どもと同じ思い、同じ時間と空間とを過ごすことは、子どもの心の安定にもつながるものと思います。多くのお父さん方も、すでに家庭での読み聞かせを行っているものと思います。ぜひもっともっと多くのお父さんに、子どもと過ごす時間を作ってもらいたいと思っています。 | |
隊の活動は、私の住んでいる群馬県の玉村町図書館で行っています。読み聞かせというと「お母さんのもの」という意識があるのかないのか?図書館の児童書コーナーで絵本を読んでいると、児童が少しづつ集まってきてくれますが、お母さんが「怪しまずに」子どもと一緒に聞いてくれると、さらに人の輪が広がり楽しい読み聞かせの時間となります。ところが、聞いている子どもに向かって、お母さんが「帰るわよ!はやく来なさい!」などと怒鳴ると、その場がしらけて人も引いていってしまいます。図書館に来てまで「こっちに来なさい!」とか「かえるわよ!」などと怒鳴らなくてもいいと思いますが、そういったお母さんが多いのには驚きます。だたでさえ忙しい現代において、子どもにはもっとゆったりとした時間を過ごさせてやればいいのにと思います。その点でも絵本の読み聞かせは、大人も子どももゆったりとした時間の共有を実現できるものです。 お父さんの読み聞かせは、主人公がオオカミだったりすると迫力が増します。読み聞かせが上手いか下手かは関係ありません。それぞれのお父さんの個性で読めばいいのだと思います。お父さんの絵本読み聞かせは、技術に走る必要はないのです。それがまたお父さんの読み聞かせの個性です。確かに下手よりは上手い方がいいのですが、それより「絵本が好きだ」とか「子どもに読んでやりたい」という気持ちを大切にしたいものです。100人のお父さんがいれば100人の個性と思いと楽しみ方があります。是非、多くのお父さんに「オオカミ」や「ゴリラ」になってもらいたいと願っています。 | |
○赤木かん子先生講演会(平成14年9月22日) ●寺澤敬子先生「読み聞かせ講座」 (平成14年11月10日) ○歌と絵本のクリスマス(平成14年12月22日) |