私の絵本体験記

「絵本フォーラム」100号(2015年05.10)より

心と心を繋ぐ絵本

木村 安納さん(東京都町田市)

木村 安納さん体験記"

  私には、今4歳の娘がいます。絵本の読み聞かせは、言葉がまだわからない1歳前から始めました。絵を見ただけでもケラケラ笑って、とても反応し絵本の力を感じました。主に夜寝る前に読むのですが、とても癒される幸せな時間です。  

 私自身、小さい頃祖母に絵本を読んでもらった記憶があり、とても大切な思い出です。娘との絵本の読み聞かせの時間の積み重ねが、いつか大きくなった娘の宝になってくれたら嬉しいなと思っています。

  特に印象に強く残っているのは、絵本によって私が娘に助けられ、支えられた日の事です。約3ヵ月前に、飼っている犬が目に傷を負ってしまいました。遠い病院への通院や自宅での点眼など様々な事で、私自身大変辛く苦しい時がありました。そんなある日、いつものように「今日は何を読む?」と娘に聞くと、その頃連日読んでいた本の名前をあげました。つい、「また~?!」と言うと、娘は少し考えて、『だいじょうぶ だいじょうぶ』(いとうひろし/作・絵、講談社)という本をリクエストしたのです。その頃には全く読んでいなかった本です。「なぜ?!」と思いながら、読み始めました。以前は普通に読めたのですが、精神的に参っていた私は、すぐに読めなくなる程に泣いてしまいました。とても、励まされる言葉が詰まった本だったからです。その時、娘がその本を選んだ理由がわかりました。“私を励ましたかったんだ”と。

  娘の想いに救われ、感動しました。子どもというのは、親自身よりも親の事をわかっているのだと思いました。これからも、色々な絵本の世界を共有しながら心の交流を沢山していきたいです。(きむら・あんな)



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