私の絵本体験記

「絵本フォーラム」103号(2015年11.10)より

絵本と共に

篠原 紀子(神奈川県大和市)

体験記  篠原 紀子さん  小説を読むのが大好きで、本はいつも私の友でした。2人の娘が生まれ、ごく自然に絵本を手に取り、一緒に楽しむようになりました。子育ては忙しく、小説をじっくり読む時間は減りましたが、絵と物語がひとつになった小さな芸術「絵本」に夢中になったのです。7歳と3歳の娘たちと共に私も少女に戻り、絵本の世界に浸っています。  

 この春、長女が小学校に入学しました。今までずっと繋いでいた小さな手を離し、一歩自分の足で踏み出す長女の背中を見ました。そのとき、私も自分と向き合う時期であると感じました。これまで子育てを楽しみながらも、その営みは社会から隔絶した小さな世界と感じていたのも本当です。

 「絵本講師・養成講座」を受講し、子育ては未来を育む大切な役目であると知り、私は自分に自信と責任を取り戻すことができました。絵本を読む母親の声には、平和や命の尊さを伝え、人の心を汲んだり、心に灯をともす力があると思えるようになりました。

 絵本は自由な想像力を育てます。想像力は、子どもたちが自らの道を切り拓く、勇気と優しさの源になるのではないでしょうか。私にとって絵本を選び読み聞かせることは、娘たちへの「がんばれ、いつも見守っているよ」というエールに似ているかもしれません。そして私自身も、絵本と娘たちから暖かいエールをもらう毎日です。(しのはら のりこ)

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