えほん育児日記

   
わたしの子育ては・・・


~絵本フォーラム第108号(2016年09.10)より~  第2回

1歳すぎて、絵本が読めるのであればテレビも見られるのではと思い、家事が大変なときに、テレビを見せるようになった。最初は30分が、1時間、2時間となり、そのうち朝2時間、夕方2時間合計4時間とどんどんテレビの時間が増えていった。そのうち、落ち着いて絵本が読めなくなってきた。どうしてだろう? とネットで調べていると、小児学会が「2歳まではテレビを見せないで」とう提言を出していることを知った。テレビを見せることで、落ち着きがなくなったり、言葉の遅れが出たりする可能性があることを知り、少しだけのつもりでも、見せ始めると、またずるずる長くなってしまうのではないか、という恐れがあり、一切やめてしまった。  

私の子育ては・・・ その頃、図書館で、大量に絵本を借りてきて読んでいたけれども、心を育てる絵本とはどういうものを読んだらいいのか? 自分が選ぶと偏ってしまうと思い、調べて出合ったのが、『ほるぷこども図書館』だった。テレビを見せない分、絵本をたくさん読んだ。絵本を読むことで、娘とたくさんコミュニケーションが取れるようになった。

  言葉を話すようになってくると、娘は雨が降れば「涙みたいだね」と言ったり、どぶ川に水が流れていないと、「水およいでな~い。水もうおしまいだね」といろんな言葉で表現したりするようになった。「まってまって、私のりんご」と言って、部屋の中を走り回っていれば、『りんごがひとつ』(いわむらかずお/作、童心社)の世界の中で遊んでいることがわかり、一緒にその世界で遊ぶことができた。お風呂に入るのを嫌がった時は、「あれ?お風呂場から声がきこえるよ。聞こえないの?」と言うと、お風呂場を気にする。「プッカが『あやねちゃん何やってるの?』と言ってるよ」、と言うと、お風呂場まで走って行って、「プッカ―、頭とかしているんだよ」と言ってお風呂に入る気満々になった。その当時、『おふろだいすき』(松岡享子/作、林明子/絵、福音館書店)が好きで、お風呂に入る時に、「プッカと一緒に入る」と言って、見えないプッカをつれてお風呂に入っていた。絵本を読むことで、子どもが何を考えているのか、気持ちがみえるようになり、子育てを助けてもらうことができた。

  1歳半すぎると、保健センターに行くこともなくなって、お世話になった保健師さんと会う機会もなくなったが、新たに子育てを助けてくれる出会いがあった。

 私が住んでいた栃木県は、子育て支援が充実しており、保育園の敷地内に子育てセンターがあった。絵本を読んでくれたり、手遊びや、踊り、小麦粘土で遊んだり、日によって、いろんなことをしてくれた。娘は人見知りが強く、そういう集まりに行っても、私の膝に座っているだけで参加しないことが多かった。でも、ここの自由な雰囲気と、先生が好きだったようで、ここではいろんなことを体験できた。どんぐりを拾いに行き、それをゆでて食べたり、ヨモギを摘んできて、ヨモギ団子を作って食べたり、ビニールプールに入れてもらったり、獅子舞をみせてもらい、風邪をひかないようにと頭を食べてもらったり、和太鼓の演奏を聴いたり、凧を作って飛ばしたり、芝滑りをしたり、自分たちだけではできない体験をさせてもらった。先生には子育ての悩みを聞いてもらい、ここでもやはり、助けてもらった。

  テレビもゲームも与えず、「かわいそう」と言われることがよくあった。でも、テレビを見せない代わ私の子育ては・・・りに、積木と絵本をたくさん家におき、画用紙、折り紙、、空き箱、トイレットペーパーの芯、粘土などをいつでも使えるようにしていた。娘はいろんなものを自由に創作し、作ることを楽しんでいた。今でも、これを作りたい!と思えば、あっという間に形にしてしまう。テレビを見ずゲームをしないことで、もしかしたらつらいことがあったかもしれない。でも、将来娘が子ども時代を振り返った時に、お母さんと一緒に過ごせた時間は楽しかったなと思い出してくれたら嬉しいなと思う。
(なかた・ともこ)

 

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