私の絵本体験記

「絵本フォーラム」114号(2017年09.10)より

「楽しみな絵本会」

面田 真里 (広島県呉市)

おもだ まりさん 「おはようございます」。児童たちとの挨拶で絵本会(読み聞かせ会)は始まります。せっかく絵本の勉強をしているのだから、絵本に関わってみたい……と、息子が通う小学校で、「絵本の読み聞かせ」ボランティアを始めて8ヶ月がたちました。月に2回、授業が始まる前のわずか15分間の絵本会が、いつしかとても楽しみな時間になっています。というのも絵本会を通して様々な体験ができるからです。朝から泣いていた女子児童が、絵本の読み聞かせが始まるとみるみる笑顔になってくれたり、「絵本会のおばさんだ」と児童が話しかけてくれたり、厳しそうな先生まで優しい穏やかな眼差しで聴いてくださって、絵本の力を改めて感じています。  

 「次はどの絵本を読もう……」と考えるのも楽しみの一つです。今年になって5~6年生のクラスで読んでいるのが、「絵本講師・養成講座」で講演されたアーサー・ビナード氏の『ドームがたり』(玉川大学出版部)です。この絵本に出会うことで子どもたちにも、ウランの怖さや平和の大切さを感じながら原爆ドームを見て欲しい……と願うようになりました。

 また『ロージーのおさんぽ』(偕成社)は、小学生も集中して絵を読み、読み終わると、大発見をしたように競ってお話を教えてくれます。この時の児童のパワーと笑顔も絵本の素晴らしさを私に教えてくれるのです。 これからも、絵本を通して、多くの力や笑顔をもらい、それらを広く伝えていきたいと思います。

(おもだ・まり)


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