おすすめ絵本

「絵本フォーラム」第117号
(2018.03.10)









くらやみのゾウ−ペルシャのふるい詩から-

くらやみのゾウ
−ペルシャのふるい詩から−
』 
ミナ・ジャバアービン/再話 
ユージン・イェルチン/絵 
山口文生/訳
評論社

 大金持ちの商人アフマドは、とてつもなく大きくてふしぎなものを、インドから連れて帰って倉に入れます。村人たちは一人ずつこっそり真っ暗な倉に入って、「ふしぎなもの」の正体を探ります。そして、ヘビ、木の幹、うちわなど、さまざまに予想してけんかを始めます。その間にアフマドはゾウを倉から出して池に行き、ゾウの水浴びを子どもたちと楽しみます。ペルシャの細密画の要素を取り入れたユーモラスな絵が魅力的。
(税込価格1,512円


あさがくるまえに

あさがくるまえに』 
ジョイス・シドマン/文 
ベス・クロムス/絵 
さくまゆみこ/訳
岩波書店

 文章は「どうかおねがいです。一度でもいいから あさがくるまえに世界をかえてください。」と雪に祈る詩。その詩をこの絵本では、一人の子どもの願いとして描いています。散歩から帰宅するとパイロットの帽子を見つける子ども。お母さんが飛行士として仕事に出かけることを知って雪に願いをかけます。スクラッチボードと水彩を組み合わせた絵が雪の白さと空の大きさ、主人公の子どもの繊細な気持ちを豊かに表現しています。
(税込価格1,620円









手ぶくろを買いに

手ぶくろを買いに』 
新美南吉/作 
どいかや/絵
あすなろ書房

 子ぎつねが人間の店に手ぶくろを買いに行って、人間の手に化けていない方のきつねの手でお店の人にお金を出してしまうという新美南吉の童話の絵本化。雪の中をまっすぐな気持ちで人間の店に入っていく子ぎつねと、人間に不信を感じ、子ぎつねの身を案じる母親との関係がきつねの目や口の表情からしっかりと読み取れます。雪の中の明かりや星のまたたく様子が美しく、南吉の文章の柔らかさが絵の雰囲気からも伝わってきます。
(税込価格1,512円


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