自然界はもうすっかり冬支度を済ませたのでしょう。畑も河原もしんと静かで、時折モズの声だけが響きます。太陽が早々と西の空へ沈んでしまい、さて、夜長の楽しみといえば、やはり絵本タイムですよね。
お気に入りの絵本をたくさん抱えて持ってくる子どもたちのうれしそうな顔、顔。ところが、待ち受けるお母さんたちの顔は、少し疲れていませんか、とがった気持ちじゃないですか。
世間は、少人数の子どもたちとその親に、大きな期待と勝手な注文を押しつけ、そのあげく、「今の若い親ときた日には」と立派な批判まで加えてきます。そんな中で家事をし、子育てをし、仕事や自分のやりたいことをこなしていくお母さんたちには、本当に頭が下がります。でも、そんなに気を張りすぎると、転んだときの傷が大きいです。そんなに頑張りすぎると、疲れが顔に出てしまいます。疲れた顔や厳しい顔では、絵本タイムは楽しく過ごせませんよ。
『おかあさんがもっと自分を好きになる本』(北村年子/著、学陽書房)は、読むだけの本ではありません。「子育てがラクになる自己尊重トレーニング」といって、読者がこの本に直接書き込みをしていく中で、それぞれが楽な気持ちになっていくよう工夫してあります。「いいお母さんではなく、幸せなお母さんになろう」というのが著者の願いであり、幸せなお母さんからしか幸せな子どもは育たないというのが信条です。手づくりのお菓子をつくることも、絵本を読んであげることも、愛情を注いで育てることも大事ですが、そのためにもお母さんがおおらかな心になり、ありのままの我が子を受け入れられる状態になること、そのためにみずからトレーニングをするというのも、なかなかない発想です。
私も以前、研修で自分のよいところを発表する機会がありました。人間が一番ではないことを知っていること、嫌いな人が少ないこと、と発表した記憶があります。一度、自分のよいところと子どものよいところを書き出してみてください。絵本タイムにも自分の好きな本を読みましょう。そうすると、子どものためによい絵本を読んであげる、ではなく、楽しそうな本を子どもと一緒に広げられる絵本タイムが持てることでしょう。きっとやわらかな顔、優しい声ですね。
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『お母さんがもっと自分を好きになる本』
(学陽書房) |