私が絵本と出会ったのは、長女が1歳になったころでした。絵本の中のことばを使ったやりとりは楽しく、おしゃべりできない娘との意思疎通の助けとなりました。その娘も小学生となり、三つ下の次女ともども、絵本大好きっ子になりました。
夫の転勤で引っ越したときのことです。2歳を過ぎた長女が急に夜泣きを始め、昼間も私にべったりになったのです。そんな私たちを支えてくれたのが1冊の子守歌絵本でした。絵本を見ながら歌い、電気を消してからも眠るまで歌い続ける日々が1カ月余りも続きました。そして、生活に慣れたころ、その絵本への執着もなくなったのです。絵本には子どもの心の奥深いところへ届く何かがあると、そのとき初めて思いました。
子どものためにと読み聞かせていましたが、いつしか、読んだ後に私が優しい気持ちになっていました。私自身が絵本タイムを楽しめるようになって、やっと気づいたのです。絵本の中には子どもの気持ちや子育てのヒントが描かれていることに。絵本は私にも語りかけてくれていたのですね。子どもと過ごす時間を楽しんでって。それ以来、親と子の心を近づけ、きずなを深めてくれる絵本タイムをとても大切にしています。
将来、ふと手にした絵本の懐かしさとともに、読み聞かせた夫や私の声――それに込めた愛情――が、成長した娘たちの心を温かく満たしてくれる……。そんな夢を、絵本からもらいました。
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