私の絵本体験記
「絵本フォーラム」52号(2007年05.10)より
「 絵本タイムはいつまでも 」
麻生陽子 さん( 兵庫県明石市 )

 子どもが通う幼稚園で絵本の読み語りボランティア活動に参加したことがきっかけとなり、絵本のすばらしさや大切さを知りました。
  慌てて家庭での読み聞かせを始めましたが、その時娘は幼稚園の年長児、そして息子はすでに小学校4年生になっていました。
  悲しいほどに遅すぎる絵本で子育てのスタートでした。それでも絵本はすぐに私達親子を絵本の森に招き入れてくれました。
  親子の会話には絵本のフレーズが頻繁に登場するようになり、絵本を通しての親子共有体験は、言葉にしなくても分かりあえる素敵な親子関係を築いていってくれました。

 息子が中学に入学し、部活や勉強が忙しくなり、そろそろ絵本タイムから卒業かなと思いながらも、時間を見つけては絵本を読んでいました。
  息子が自分の不注意から車との接触事故を起こしたのはそんな矢先の出来事でした。幸いにも軽い怪我ですんだものの、後悔、恐怖、不安などの思いに苛まれ、自分の殻に閉じこもってしまいました。

  私にできること、それはいつものように絵本を読んでやることだけでした。するとどうでしょう。 読み終わると同時に小さい子どものように泣き出し、自分の気持ちをすべて吐き出してくれたのです。絵本、そして読み聞かせのすばらしさを再認識した瞬間でした。
  親子の絵本タイムに卒業など必要ないですね。これからもずっとずっと親子で絵本を読み続けたいと思います。

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