私の絵本体験記
「絵本フォーラム」59号(2008年07.10)より
「心に、からだに、しみ込む絵本」
瀬辺玲子さん (岐阜県岐阜市)

 「ママ、あと 3 冊、読んで」

夜中に突然起きてきて、息子が言ったひとことです。私は、ちょうどこの原稿を書こうと思い、パソコンに向かい考えていたところでした。

 寝る前には毎日 5 冊の絵本を読む、というのがいつの間にか習慣になり、私も息子も今夜は何を読もうかとワクワクしながら本棚の前に座り込みます。

 そしてその日は、 2 冊目を読んだところで息子は眠ってしまい、そのまま寝かせることにしました。そうしたところ、夜中に突然起きた息子は「あと 3 冊読んでもらってない」と目をこすり、少し泣き顔で絵本棚の前に座り込んだのです。

 私が 4 冊目の絵本を読み始めると、途中で再び寝息を立て始めました。が、絵本が息子の心を満たしてくれたのでしょう・・・朝までぐっすりと眠りました。

 その夜の出来事を思い出しながら、「あぁ、絵本の物語が、いつの間にか子どもの心の中に、そして身体の中に深く沁み込んでいっているのかな」と感じ、ふと嬉しくなりました。

 親子の絆も、絵本との絆も、きっとじっくり時間をかけてこそ出来上がるものでしょう。

その橋渡しを、今まさに絵本がしてくれているように思います。

 私は一児の母親で、子育ては初心者。子どもの成長で直面する様々なことが初めての経験です。それに、おっちょこちょいで、疲れた時には手抜きをします。そんな未熟な母親です。が、わたしのそばにある絵本達は、いろいろなことを教えてくれます。私の子育てを、絵本達がそばでそっと見守ってくれているかのようで、私の心にも深く沁み込んでいるな、と感じる今日この頃です。

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