リレー

子育てが終わって、今…私がはじめたこと
( 岐阜県本巣郡・鈴木 えい子 )


 私の子育ては、寝たきりの病人の介護と同時進行でした。毎日の生活は病人を中心にまわり、子ども達とじっくり向き合う時間のない二十三年間の介護と子育て。
 子ども達には、ただ、背中を見せていただけでした。
 こんな環境の中で、子どもたちは大人になり、今、子育て真っ最中です。
 私は子育ての基本は子どもを可愛いがることだと思っています。甘やかすのではありません。
 自身の子育ては、この基本を守っただけのものでした。

 可愛がられた子どもは、人にやさしくできる大人に育つと確信しています。愛されることなく育てば、愛することを知らない大人になる。子育ては連鎖だと思います。
 自分自身の子育てが終わった今、伝える子育てが始まっています。ああすればよかった。こうすべきだったというのは経験した者だからいえることです。

 現在、小・中学生対象の寺子屋のような学習塾をやっています。小学生には読み聞かせをしたり、中学生には悩みの受け皿になったりもします。
 子ども達は、親でもなく、学校の教師でもない、おばあちゃん先生には安心して心の中をのぞかせます。
 いつも子ども達に伝えていることは、本を沢山読むこと、いい音楽を聴くこと、友だちといっしょになって身体を動かすことの大切さです。こんな関わりの中で、子ども達と一緒に、私自身も育っていると実感しています。

絵本フォーラム62号(2009年01.10)より

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