関西地方の書店で「おはなし会」をはじめて、もう 12年が経ちました。毎月多くの子どもたちの前で絵本を読むことはとても幸せなことです。子どもたちと一緒に絵本の世界で遊ぶのです。
もうひとつの楽しみは、現在4人の孫を持つわたしですが、その孫たちに絵本を読んでやることです。残念ながら同じ屋根の下に暮らしているわけではないので、いつでもこの楽しみを味わえるわけではありません。
今年の2月に福岡に暮らしている次男の家に行く機会がありました。そこに2歳と0歳(9ヶ月)の孫娘がいます。2歳の陽那(ひな)は、『おおきなかぶ』(福音館書店)が、0歳の凛(りん)は、きむらゆういちさんの『いないいないばああそび』(偕成社)が好きだということが分かりました。
ママにいつも絵本を読んでもらっているそうです。言葉もまだ十分に分からない年齢であっても、絵本を楽しめることができるのですね。これが絵本の力、良さでしょうか。それは読んでくれる大人が生の声だからこそ伝わる何かがあるのですね。
大人が一方的に子どもに読んでいるように見える絵本の読み語りが、実は大人と子どもの心のやりとり、コミュニケーションを成立させているのですね。多少、言葉の意味が分からなくても、読んでくれる人の声と絵を見て子どもは絵本の世界へ入っていくことができるのですね。
孫と絵本で遊ぶときは、1ページ目から最後までキチンと読むことはあまりありません。途中をすっ飛ばしたり、同じページで立ち止まったり、それはもうメチャクチャです。でもそれでもいいのかなあ、と思っています。もう少し大きくなったらじっくり聴くことができると思います。
絵本を真ん中に置いて、孫とおじいちゃんが一緒に遊ぶということが、まさに至福の時なのです。(もろおか・ひろし) |