リレー

絵本のちからを感じ取って
(兵庫・「赤ちゃん講座」主催カンガルーサークル代表/大内 則子)


 5、6ヶ月の赤ちゃんを対象とした「親と子の赤ちゃん体操講座」では、赤ちゃん体操の他に、お母さんのための絵本の読み聞かせ、工作などを通して、子育てを応援しています。

 その中で、お母さんから「どう、遊んでいいかわからない」「どう接していいかわからない」という言葉を聞くことがあります。少子化が進み、核家族の状況の中で、お母さんも産声をあげたばかり、親としての責任から育児不安が高くなるのも仕方の無いことだと思います。
  講座では、絵本の素晴らしさを、お母さん自身が体感してもらうことで心のゆとりになればと始めました。すると絵本の先生のお話に涙ぐまれるお母さんや、「心に染みる絵本との出会いがあった」「癒された」という感想を多く頂きました。
  驚かされるのは、講座終了時には、不思議とお母さんの言葉が柔らかくなり、語りかけるように赤ちゃんと接しておられることです。絵本の中にはそんな言葉の宝物がいっぱい溢れていて自然と感じ取られているのだと教えられました。
  赤ちゃん講座では、どんな素晴らしい音楽よりも、お母さんの語りかけが赤ちゃんにとって一番だと伝えています。私自身も、赤ちゃん体操を始める前に必ず、心のウォーミングアップに『あかちゃんのうた』(松谷みよ子/ぶん、岩崎ちひろ/え、童心社)を読んで、絵本の力を感じ取っている一人です。
  そんな温かい言葉の中で育った子どもは、人に対しても温かい言葉を伝えられるようになるのだと思います。

絵本フォーラム65号(2009年07.10)より

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