私の絵本体験記
「絵本フォーラム」69号(2010年03.10)より
楽に生きられるのも絵本のおかげ
谷口 富美子さん(兵庫県神戸市)

 幼い頃は外で遊んでいた記憶しかなく、子どもを産むまでは仕事一筋で、絵本とも子どもとも無縁だった私。長女を出産してからは一転し、周囲も驚くほど教育ママ化し、絵本を含め子育てによいといわれるものを 買いあさっていました。しかし「ああしなくちゃ。こうしなくちゃ」と余裕をなくした育児に少しずつ疲れを覚え、絵本も「楽しむ」というより「読んであげなくちゃ」と義務のように捉えていました。

 そこで、ふと「絵本の何が子育てに良いのだろう」と疑問を抱き、 NHK文化センター神戸教室の絵本講座に参加しました。そして、講座の中で読んでいただいた絵本に感動し涙し、長い間「感じるこころ」を忘れていたことに気づきました。また、「絵本は子どもだけのものじゃあなくて、私も楽しんでいいんだ」と思うと、育児に対する気負いがスッと抜けていきました。今では2人の娘と絵本を読む時間は、私自身のリフレッシュタイム、気持ちをリセットする大切な時間です。

 「今日読みたい本はこれ」「ママはこれ」女3人年齢関係なく対等に、色々と揉めながら楽しみながら、毎日絵本をセレクトし読んでいます。私は、読みながら感動して泣いてしまうこともしばしば。4歳の長女は「いい本だからね」と、声をかけてくれます(笑)。1歳の次女は、世界が広がり始めたようで、色んな絵本を読むようになりました。

 これからも、絵本を通じて女3人一緒に泣いて笑って・・「感じるこころ」を大切に、共に楽しんでいきたいと思います。

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