私の絵本体験記

「絵本フォーラム」87号(2013年03.10)より
繋がって…と願う読み聞かせ
深澤 実穂さん(三重県津市)


 新しい命を授かったことがわかった病院からの帰り道、私は立ち寄った本屋さんで絵本『いないいないばあ』を手に取りました。母が私にしてくれたように今度は私が、と言葉では表すことのできない喜びと、再び出会えた絵本への懐かしさで、胸がいっぱいになったことを覚えています。
 あれから8年が過ぎ、4人の子どもたちに恵まれました。4人目が生まれたとき、当時、年長だった長男、年少の娘、2歳の娘が赤ちゃんにかわるがわる見せてくれていたのが『いないいないばあ』。生後2ヶ月も過ぎると子どもたちが絵本を読むのを、じっと聞いている様子に驚かされました。そして、いつの間にか字が読めるようになっていた長男と長女は次から次へと赤ちゃんに本を読んであげていました。まだ2歳だった次女は赤ちゃんに見えるように絵本を広げ、絵本のストーリーとは違うお話を聞かせてあげていました。予想もつかないような展開のストーリーに、必死で笑いをこらえながらも、子どもの想像力や発想の豊かさに驚かされました。4番目の娘も3月11日に2歳のお誕生日を迎えます。彼女も今では自分よりも小さな赤ちゃんが泣いているのを見ると、絵本を持っていって見せてあげています。絵本を通して、4人の子どもたちの成長を感じ、人を思いやれる子に育っていってくれていることを嬉しく思います。
 いつかこの子たちも父親、母親になったとき、私が本屋で『いないいないばあ』と再会したときのような思いをもつだろうか、自分たちの子どもに読み聞かせてやるのだろうか……。そんなことを考えながら、いつまでも親が子に読み聞かせをするということが、繋がっていきますように……と願ってしまいます。
 将来の姿が想像もつかないほど、まだまだ手のかかる子どもたち。まだまだこれからも沢山の絵本を子どもたちと一緒に楽しんでいきたいと思います。(ふかざわ・みほ)

前へ次へ