報告・福田人規

 「あと、1年半で100歳になります」とむの氏。会場のあちらこちらから驚きの声が洩れていました。その口調は力強く、とても98歳には思えないものでした。 子どもと絵本のことは専門外ですが……と言いながら、@子の時期とは? A絵本とは? B現下の問題は、と3点についてお話くださいました。

 まず、乳幼児期は人生の根幹であり、それは命の土台が出来る時期であり、長く人生に影響を与えていくものだ。人間として生き抜くためには自分の責任で判断していかなくてはならない。親子が共に育ちあう時期に絵本の果たす役割は大きく、絵を介して行うコミュニケーションは重要である。
 また、私たちは今あるこの世界が永遠であると思っているが、存続も滅亡も、今まで歴史を作り上げてきた一人一人の自覚に関わってくる。かけがえのない一人一人が自分の場所から自分の出来うる責任で生きていくことが第一歩である。自分を労り、喜ばせ、決して粗末にしない、自分を大切にすることが人を大切にすることに繋がっていく。
 最後に、人が支えあって生きる基盤を作る場面に立ち会う私たちに、「誇りを持って頑張ってほしい」、と締めくくられました。むの氏の言葉には、子どもたちの生き抜く力を信じる思いが溢れていました。 (ふくだ・ひとみ)