私の絵本体験記

「絵本フォーラム」97号(2014年11.10)より

絵本の力を感じて

坪井 幸世さん(兵庫県神戸市)

坪井幸世さん体験記"

 「絵本講師・養成講座」で学んだのは昨年のこと。私は、育児休暇中でした。1歳だったわが子へのコミュニケーションとして、自分が大好きな絵本を客観的に学んでみたかったのです。そして、その学びは「今」につながっています。
 この春、私は職場復帰をし、娘も保育園へ通うことになりました。今まで、べったり一緒だっただけに、保育園へ送り届けるのも「バイバイ」するのも母娘とも涙が溢れてしまう日々。復帰した職場にも、緊張してしまい、気持ちがどうしても張りつめていたように思います。ただ、変わらないことは娘が眠る前の絵本タイム。休暇中に、たっぷり読んだ絵本を毎晩数冊選んで読んでいました。娘とぎゅっと寄り添って、限られた時間をゆったりと過ごせることで、不思議と安心を得られた気がします。
 養成講座で同じグループだった子育ての先輩が「今、振り返ったら思うの。絵本を読んでいた自分が、その絵本に癒されていたのよね」とにこやかに話されていた場面が、ふと目に浮かんできました。絵本には、やっぱり秘めた力があるのだなあ、と改めて思います。
 さて、2歳半になった娘は「今日は自分で読むね。先、あーちゃん。次、ママね」と何でも自分でやりたがり、最初は私が本を選んでいましたが、最近は「今日は、これとこれ!」なんて言いながら、自分で選んで持ってきます。今のお気に入りの一冊は『やさいのおなか』(きうちかつ/さく・え、福音館書店)です。きっと今夜も「もう一回!」と言われることでしょう。
(つぼい・ゆきよ)

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