おすすめ絵本

「絵本フォーラム」第99号(2015.03.10)








まっていたてがみ
『まっていたてがみ』 
セルジオ・ルッツィア/作 福本友美子/訳 
光村教育図書

  レオは村の郵便屋さん。配達の途中で友だちとゲームをしたり、お茶を飲んでおしゃべりをしたりして楽しく暮らしていました。けれど、残念なことに、一度も手紙をもらったことがありませんでした。ある日、郵便ポストの中にピピという小鳥がいました。そこで、レオはピピと一緒に暮し始めました。そして、春になると、ピピは北へ渡っていき、手紙をくれました。レオとピピの交流が物語性の豊かな絵で表現されています。


きょうのおやつは かがみのえほん
『きょうのおやつは かがみのえほん』 
わたなべちなつ/作 
福音館書店

 ボールに卵を割って牛乳、小麦粉などの材料を混ぜ、フライパンでこんがり焼くとホットケーキのできあがり。見開きの片ページが鏡になっていて、本を90度に曲げて見ると、この過程が立体的に見えます。ホットケーキにシロップをたらす場面は、一緒に見ている猫とともに、思わず舌なめずりしてしまいます。同じシリーズの『ふしぎなにじ』も鏡の原理を使った不思議で、デザインが美しい絵本です。









火城 燃える町1938
『火城 燃える町1938』
蔡皋/文・絵 【アオ】子/絵 中由美子/訳 
童心社

 1938年、日本軍が中国へ侵略していた時、「わたし」は、中国湖南省の古都、長沙に住んでいました。お父さんから田舎へ逃げなさいという便りがあった日の夜、町中が大火事になり、5日間燃え続けて、古い町がなくなってしまいました。人々の暮らし、戦争によって変化する町の様子、大火事で廃墟になってしまう様子を描いたモノクロの迫力のある絵が、戦争の空しさ、恐ろしさを強く訴えかけます。


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