<2009 年・絵本講師の会(芦屋会場)交流会報告 >

 金木犀の香る中、芦屋市民センターに於いて 10 月 18 日(日)、今年度 3 回目の交流会(はばたきの会)が開催されました。インフルエンザの影響もあるのか 27 名の参加となりました。隣の市では中学校の体育大会も異例の中止となる状況で、みなさん元気に参加され、無事に開催できたことは本当に嬉しいことでした。

 武田美保さん(芦屋 4 期生)の司会で会は進められました。

 午前は森ゆり子理事長の挨拶で始まりました。次に舛谷裕子(芦屋 3 期生)が、西宮支部「絵がお」が企画する藤井勇市代表の 3 回連続講座(学習会)のお知らせをさせていただきました。そして、みなさんから 1 分間の自己紹介がありましたが、久しぶりの交流会についついお話しが弾んでしまいました。

 その後、藤井代表より「絵本講師としての考え方」についてお話しいただきました。

 おもに名刺の渡し方、服装、言葉遣いなどについて勉強しました。また早期教育についても学齢期に達した時期に知育することで充分と再確認できました。自分自身の常識だけではなく今の常識に合うかを勘案し、できる限り心に寄り添った講座となるように心がけることや、何か壁にぶつかったら自らを修正していくたいせつさを話されました。また、言葉遣いでは世間で間違って使われていることがあるが、よく考えて基本的なことは抑えておくこと。絵本講座は教育の場ではないので、上からの目線、発言は教育的になってしまい絵本講師の活動としてはふさわしくないのではないか、とご指導くださいました。

 これらのことは絵本講師としてだけではなく、社会人として当たり前のことなのではないかと感じました。ただ、その当たり前のことが私自身なかなかできません。名刺の渡し方などの所作や正しい言葉遣いを身につけること、また語彙を増やすことは日々の努力によって備わるものです。交流会で研鑽を積み、切磋琢磨する必要性を強く感じました。今すぐにでもできる、そして最も難しいと思われる「心に寄り添うこと」を我が子にも実践していきたいと思いました。

 午後からは NPO 法人「絵本で子育て」センター初の絵本出版『きつねやぶのまんけはん』の画を描いてくださいました伊藤秀男先生のご講演がありました。

 外部から聴講を希望される方もあり 5 名が参加してくださいました。「じぞうぼんの頃」と題し、絵本作家としてデビューするいきさつやその頃の思いをお話しくださいました。画家として「どこかに売り込む」こともされず 25 歳から毎年個展を開かれていたそうです。 30 歳頃に当時『本の雑誌』の編集長をされていた椎名誠さんに個展の招待状を送られたのが目にとまり人づてに、かがくのとも『じぞうぼん』へと繋がっていったのだそうです。

 先生は想像だけでは絵は描かれず必ず取材されるそうです。中川正文先生に「がんばるように」と励まされ、『じぞうぼん』は 2 年間(ふた夏)京都に来られ気になるところをたくさんスケッチし創られた作品なのだそうです。「人に喜んでもらえている画というものは自分も喜んでいるものです。自分でも自信がある画はいい。そうじゃなきゃ、だめだ」といわれ、『じぞうぼん』を描き上げたときは本当に嬉しかったそうです。

 27 年ぶりに中川先生と『きつねやぶのまんけはん』を創られ、その後の作風が変わってきたそうです。「中川先生は特にビジュアルをたいせつにされ画家にもいろいろ注文をつけられる」「中川先生の注文は的確」なことで作品がより一層良い物になったそうです。時代考証のため博物館にも行かれ、自分の思い出もプラスされてできあがった作品なのだそうです。

 「絵本の中のことは、それはそれで本当のことだからいい加減ではだめ」と先生の画に対する真摯な思いを知り感動致しました。だからこそ高く評価される絵本となるのだと今更ながら理解することができました。 

 原画もたくさん持ってきてくださり、自由に見せていただき貴重で楽しい体験となりました。ご講演終了後にはサイン会もしていただき、絵はがきもプレゼントしてくださいました。

 名古屋からお越しくださいましたが、この後芦屋美術館にも行かれ出雲にスケッチ旅行に出かけられるということで、作務衣にディパックという出で立ちでした。先生の芸術活動そのままを垣間見せていただきました。

 講演会終了後は 5 つのグループに分かれてグループワークをしました。外部から聴講された方も参加していただき、どのグループも活発な意見交換ができました。いろいろな方と交流を持つことで毎回大きな学びがあり、絵本の奥の深さに感動しました。久々の交流会で発憤される方、懐かしむ方、さまざまですがこうして継続して交流することのたいせつさを改めて感じました。

 最後に、井下陽子副会長より閉会の挨拶がありました。

 参加されたみなさまにもお手伝いいただきながら会場の後片付けをし、あっという間に作業は終わりました。名残惜しい気持ちで金木犀の香る芦屋を後にいたしました。

報告・舛谷裕子(はばたきの会副会長、芦屋 3 期生)



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