はばたきの会交流会


<2017年度・第2回「絵本講師の会」 全国合同交流会 報告> 
(2017/10/22・
芦屋市民センター)


「まず、去る10月13日がご命日の故中川正文先生へ黙祷を捧げました。先生のお懐かしい顔、声、言葉が浮かびます。」


 強い勢力を保ちながら近畿地方へ接近中の台風21号。この日(10月22日)、2017年度第2回「絵本講師の会」全国合同交流会が開催されました。会場の芦屋市民センターの中には第48回衆議院議員総選挙の投票所も設けられており、雨の中を訪れる人が後を絶ちません。

司会 野口明子  本日の司会は、野口明子さん(芦屋1期)。朗らかな第一声で開会です。 まず、去る10月13日がご命日の故中川正文先生へ黙祷を捧げました。先生のお懐かしい顔、声、言葉が浮かびます。そのお姿を胸に、森ゆり子理事長の挨拶を伺いました。先生を偲ぶ会が13日、事務局で執り行わあいさつ 森ゆり子れたこと。節目の12期を迎えた際の感慨と、近年の受講生の数と推移、講座運営の様子。加えて昨今の社会情勢とその移ろいについてもお話になりました。私達もそこに同じ思いや考えを見出し、多くの方が頷きながら耳を傾けておられました。

講座実演 渡辺敏子 続いて自己紹介と支部の紹介。そして、講座実演の始まりです。渡辺敏子さん(芦屋13期)が「絵本で子育て親育ち〜子どもを甘えさせてあげましょう〜」と題し、幼稚園の保護者対象の設定でお話されました。

  『はらぺこあおむし』の読み聞かせから始まりました。なじみのある絵本を次々と紹介しながら、子ども達の絵を読む力、文字のない時期を大切にすること、子ども達は皆、自分で見つける・できる・ぼくにも私にもできるよ! といった喜びの力を持っていること。その力と可能性、機会を奪うことなく大人は見守り、待つことが肝心であること。見守り、待つことが出来たという親の体験は、そのまま親の自信にもつながり、その後の子どもの成長を親としてどう見守ることができるのかの基礎にもなることを伝えられます。

 子どもの頃に、お母様に絵本を読んでもらったエピソードも交えられました。思い出の本『ながぐつをはいたねこ』に込められたお母様の愛情とご自身の記憶。「この一冊に、大人になってから、いえ、年齢を重ねた今だからこそ励まされている自分がある」とおっしゃいます。渡辺さんの初講座には、お母様が足を運んでくださったそう。少々照れくさかったとおっしゃりながらも、きっとそれらのひとつひとつが渡辺さんの今後の活動においても、大きな力となり励みとなってゆくのだな……とお話を伺いながら思った次第です。

 よい絵本の選び方や具体例もあげられ、子どもの気持ちを受け止めること、甘えさせることと甘やかすことの違いについても詳しく説明されました。思春期の子どもによる親殺しについても。私達大人(親)は、子が親を精神的に乗り越えようとする時、その時は上手に殺されなければならないこと。子どもの心をしっかりと受け止め、受け容れ甘えさせてあげること。自己肯定感を育むこと。その手掛かりや心構えについて絵本を介し、わかりやすく話してくださいました。あっという間の60分。その後の昼食時間にも、講師渡辺さんと熱心にお話しされる方々がいらっしゃいました。

  午後の部は、藤井勇市顧問による講座「あれやこれやと いまおもうこと」。 「六法と絵本講師の心構え 藤井勇市は?」の問いに始まり、六法(全書)について、憲法についてと続きます。先日の沖縄ヘリ墜落・炎上の現実からも露わとなった治外法権について、さらに日米安保条約、日米地位協定についてと話は繋がります。日本の外交、こと日米関係における従属的な政治体制と現状。急速するグローバル化の中で、グローバリズム(主義・主張・思想)による支配と国民国家の溶解、等々。お話を伺いながら、私達が暮らすこの国を構成するのは、紛れもなく私達一人ひとりであること。主権者として、立憲主義とは何か、真の独立国家、主権国家とはどのようなものであるか、を深く考えさせられました。

  学校と教育、子ども達のいじめ問題についても話されます。本「絵本講師・養成講座」についてもお話しになり、読み聞かせ全盛期にこの講座を開講するに至った動機と(故)中川正文先生と松居直先生の想いも伝えられます。これまでにも何度かその経緯と共に伺ってきましたが、今一度お聞かせいただいたことで、私達絵本講師の意義、絵本講座の位置付けがより明確となったことは言うまでもありません。現在、様々な絵本のセミナー、読み聞かせの講座がある中で、私達絵本講師は、一人ひとりが絵本講師として、また講師である以前にひとりの人間として、どう生きるのか、しなければならないことは何であるのか、心得るべきことは何であるのか、在るべき姿とは、と問われた気がいたしました。

 最後に、白井聡著『「戦後」の墓碑銘』(金曜日)から、マハトマ・ガンジーの言葉を紹介されました。≪あなたがすることのほとんどは無意味であるが、それでもしなくてはならない。そうしたことをするのは世界を変えるためではなく、世界によって自分が変えられないようにするためである。≫ 講座のタイトル通り、あれやこれやと今思うことをお話しされた1時間。展開するお話に引き込まれ、瞬く間に過ぎた時間でありましたが、私は一人ひとりが粘り強く思考することや、自らの主体性を放棄することなく生きてゆくこと、それが大事と考えた講座でありました。

グループワーク グループワークでは、日頃の活動や悩み、改善点、今後の取り組み、抱負などを語り合い、宿題であった好きな絵本の紹介と、普段利用している図書館の図書カード(貸出カード)発行率(枚数)も報告し合いました。

 お話しも盛り上がり、活発なワークの只中、一斉にエリアメールが届きます。マナーモードにしているはずのスマートフォン・携帯電話が鳴りだしました。神戸市危機管理室からの発信です。風も強くなってまいりました。交通機関も懸念されます。 あいさつ 池田加津子

 池田加津子副会長の「皆様、どうぞお気をつけてお帰りくださいませ。ありがとうございました。」の挨拶によって、予定より早い閉会となりました。

  最後になりましたが、本日、午前の部に講座予定であった福島はるおさん(東京6期)、体調不良のためご欠席されました。台風の影響により欠席された皆様も含め、私達も楽しみにしておりました。さぞかし福島さんご自身も残念であられたかと思います。手元には準備されたアンケートとレジュメが配布されておりました。「どんなお話が聞けたのかな……」と、楽しく想像致しました。

 お陰様で本日もたいへん有意義なひととき。充実した学びとなりました。皆様、どうもありがとうございました。(みやはら・みな)


宮原 美奈 (交流会リポート・みやはら・みな 芦屋4期) 

 


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