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報告者
芦屋6期生
岡部 雅子
第2編   〜 読み聞かせについて 〜
2010年7月24日(土) 飯田橋レインボービル
主催:NPO法人「絵本で子育て」センター  共催:ほるぷフォーラム社
協賛:岩崎書店・偕成社・金の星社・こぐま社・鈴木出版・童心社・ほるぷ出版・理論社
特別協賛:ラボ教育センター

 梅雨明けの猛暑に包まれた 7 月 24 日、飯田橋レインボーホールにて第 7 期絵本講師・養成講座、第 2 編が開催されました。

 大久保広子さんの司会進行で始まり、午前の部では、批評家・エッセイストの飫肥糺氏が「子どもと遊ぶ、絵本に遊ぶ」と題して、読み聞かせを交えながらお話しくださいました。故郷・日南市飫肥の中央図書館でのご講演の折、同窓会で再会した旧友たちが持つ純粋な心や人と人とが繋がる力に触れ、都会に暮らす大人も時々は童心〜懸命さや探究心、時にはぼーっとしたり流れに任したりすること〜を取り戻す必要があると痛感されたそうです。子ども時代は人と人とが繋がる力や語り合う力を育むときでもあります。子どもが豊かな時間を過ごす助けをするのが大人の役目です。怒ったり指示したりするのではなく交流すること。だからこそ、大人は童心をそっと隠し持って子どもとかかわりたいとのことです。氏はお孫さんとの交流の中で、商店ではなく公園に連れ出す技を磨いていらっしゃるそうです。

 自分が絵本を楽しむと聞き手の子どもも楽しんでくれます。それを実感すると自分もまた楽しくなります。そういった感じあう心がコミュニケーションの初めの一歩です。大人と子どもとでは感じ方は違っても、大人も楽しめるのが絵本です。子どものものだけではない、大人も遊べます。未熟な親にとっては母性を発揮するための刺激にもなります。なにより、子どもと大人とのあいだに愉快な関係を築いてくれます。絵本は大人になる過程で必要なもの、濁った常識を粉砕する力を持つものだからこそ、真剣に読み込んでから子どもに手渡したいとのことでした。

 午後は、とよたかずひこ氏「でんしゃにのってももんちゃんがやってくる〜自作を語る〜」からです。紙芝居、新作『きかんしゃぼっぼくん』、五十歳を過ぎてから子育て中のことを思い出して作った『ゴロゴロゴロン』『でんしゃがくるよ』を読んでくださいました。どれも、読み手と聞き手とのやり取りが楽しい作品です。氏は、講演会ではとよた先生ではなく、とよた さん と呼んで欲しいとおっしゃいます。先生と呼んでは子どもとの間に距離ができてしまい、エネルギーを交換できなくなってしまうからだそうです。読み聞かせをすると子どもからたくさんの元気をもらえますが、もらうだけでなく大人からも元気をあげたいとの思いの表れです。

 祖母から聞いた弁当売りの昔話を描きとめておこうという思いから生まれた『でんしゃにのって』、往年の野球選手の名を冠した『バルボンさんのおでかけ』のシリーズをお手製の大型絵本で読み聞かせてくださいました。これまでの絵本にないを作りたいと、『どんどこももんちゃん』に始まるももんちゃんシリーズでは、大人が読んでも面白い作品を心がけていらっしゃるそうです。読んであげる大人が楽しめるものであれば、少々難しくても赤ちゃんにも楽しい気持ちが伝わるだろうとのお考えからです。また、絵本という形式の作品では、裏表紙(表四)を大切にしていて、そこにお話の落ちを描いていらっしゃるそうです。氏の作品を読み終えたときにほっとした暖かい気持ちになるのは、そんな氏の思いが伝わってくるからなのでしょうね。

 短い休憩を挟み藤井専任講師よりレポートの講評があり、安田富美さんの『いないいないばあ』(松谷みよ子・作 瀬川康男・絵 童心社)の読み聞かせの後、その暖かな余韻を保ってグループワークがはじまりました。各グループに聴講生やスタッフが加わり、グループ内でも読みあって読んでもらう心地よさを再発見したり、いないいないばあの意味について語り合ったりと盛り上がりました。

 白熱した学びの時はあっという間に過ぎ、受講生たちは、両氏が読んでくださった絵本とそれに込められた思い、そしてそれぞれの思いとを携えて帰途に着きました。

★芦屋会場リポート 第1編/第2編/第3編/第4編/第5編/第6編
★東京会場リポート 第1編/第2編/第3編/第4編/第5編/第6編

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