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報告者
芦屋6期生
林田 園子
第3編   〜 絵本講座について 〜
2010年8月21日(土) ラポルテホール
主催:NPO法人「絵本で子育て」センター  共催:ほるぷフォーラム社
協賛:岩崎書店・偕成社・金の星社・こぐま社・鈴木出版・童心社・ほるぷ出版・理論社
特別協賛:ラボ教育センター

 第7期「絵本講師・養成講座」芦屋会場第 3編が8月21日(土)、芦屋ラポルテホール3F特設会場で開催されました。

 残暑とはいえ、全国的に連日 30〜35度を越す真夏日が続き、熱中症への注意が呼びかけられている猛暑の中、受付を済ませ会場へ入られる受講生の皆さんは、暑さを跳ね返す“元気”に溢れていました。

 池田加津子さん(事務局・芦屋 2期生)の司会で第3編の開講です。

いつもながら爽やかなお声で配布資料の確認、当日スケジュールの発表、諸案内などがありました。

 午前の講師は、浜島代志子氏(作家、劇団天童主宰)の「読み語りの楽しさ」(実演)でした。

 人心悪鬼のごとき児童虐待は、親が我が子に愛情をもてなくなっていることが考えられます。古 稀(数え年 70歳)を迎えられますますお元気な先生は、子ども達の未来を憂いて「情操教育救急隊員」として、全国各地で絵本の大切さを伝える講演活動を活発に展開されているそうです。

 絵本を読み語る目的は、子どもの情操と人格を育てることです。絵本を深く読むことで子どもは心を育て健全に成長することができます。最近の言語コミュニケーション力の低下は、子ども達が本を読まなくなったことが大きな原因です。絵本は食事と一緒です。絵本は食材を吟味するように、「主食の本」か「おやつの本」か、添加物は含まれていないか等々、選択する眼力をもたなくてはいけません。それほど子どもに読み聞かせる絵本の選書は重要なことです。

 浜島先生は、「真・善・美」が絵本の中で表現されているかが、たいせつな要素であると強調されました。

 読み方については、上手に読むことではなく、自分(読み手)の情(こころ)が動いた読み方こそが子どもに伝わり、子どもと一緒に物語の世界へ旅することができるのです、と話されました。

 『タニファ』『マウイたいようをつかまえる』『はらっぱにライオンがいるよ』『ママおはなしもっとして』(いずれも偕成社版)などの読み語りの実演は、感情のこもった、身振り、手振りの入った表情豊かな実演でした。

 私は童心にかえり、浜島先生のお話の世界に引き込まれていました。

さらに先生は、「絵本なくして子どもは育たない。ギターでなく絵本を抱えて街頭パフォーマンスをしましょう!顔はにっこり、声は大きく、しっかり演ずる」

絵本講師を目指す受講生や私たちにエールをくださいました。

 午後の講演は片岡直樹氏(川崎医科大学名誉教授、Kids 21子育て研究所所長)の「テレビ・ビデオが子どもの心を破壊している」でした。

 片岡先生は満 68歳。中学2年の時に家にテレビが入ったが、子ども時代はメディアとは無関係に自然の中で遊び、小1〜6年の間が倍の12年の長さに思えた。早く大人になりたいと思いつつ、ゆたかな子ども時代だったと回想されました。

 現在、小児科医として全国各地から相談に訪れる子ども達を診ておられます。その中で急増している発達障害の事例を解説してくださいました。

 先生は、永年の臨床医の経験から<発達障害は先天的な要因で起こるものではなく、後天的な環境が原因=環境発症論=です>と断言されます。

 また先生は、「生まれた時は皆、白紙の状態です。生後 2年間の育ち(育て)方がたいせつで、テレビ・ビデオなどの音や光にさらされない静かな環境空間をつくり、オウム返しの模倣やスキンシップ(愛着行動)で五感を育てることで発達障害の予防はできる」と話されました。

 どの家庭にも当たり前にテレビやビデオがある現代の家庭状況を考えると「2歳まではテレビを見せない」という認識と実践は、子育て中の親にとっては大きな課題です。発達障害が発展して、不登校やニートなどに及ぶ可能性を考えると、この問題はきちんと伝えていかなければならないと思いました。

 グループワークの前に藤井専任講師から、読み聞かせのスタイルとして演技力を発揮することもひとつの方法です。絵本の読み聞かせには、知育のような「強制」の役割はもたせず、子どもの心を解放すると考えたほうがよい、というお話がありました。また、第2編で学んだ読み聞かせの「 5つの注意点」を押さえて、共に絵本の世界を共有し記憶を紡ぐものと理解したいものです、と話されました。

 グループワークは 3回目ともなると、親密度も増し活発に意見交換が行われていました。講座終了後も会場が閉鎖されるギリギリまで、お勧め絵本の紹介やリポート作成についての話し合いに盛りあがっていたグループもありました。

 次回、第 4編は秋闌(たけなわ)の10月30日(土)です。予想される厳しい残暑を乗り切って<涼しい顔>でお目にかかりましょう。(はやしだ・そのこ)

★芦屋会場リポート 第1編/第2編/第3編/第4編/第5編/第6編
★東京会場リポート 第1編/第2編/第3編/第4編/第5編/第6編

第3期リポート はこちらから ★ 第4期リポート はこちらから ★ 第5期リポート はこちらから
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