リレー

絵本で親子のふれあいを
(兵庫・社会福祉法人あすなろ保育園園長・三澤 緑)


 保育園に通うお子様は、1日の長い時間を親御さんと離れ、集団の中で過ごします。これは乳幼児にとって、かなり負担がかかります。長いお子様は6年間、保育園に通いますが、その6年間を「第二の家庭」としてリラックスしながら楽しく過ごせるよう、いろいろと工夫をしています。そんな工夫の一つに、子どもたちといっしょに絵本を読む時間があります。子どもは「読んで」と言って、自分の好きな絵本を持ってきます。ひざに子どもを乗せて、ゆっくりと読んであげます。次々とほかの子どもも集まってきて、何度も繰り返しせがみます。時折、自分でページをめくったり、記憶を頼りに独り言をつぶやいたりしているかわいい姿も見られます。絵本に触れること、読むことは、子どもにとって世界が広がり、大人(親)とのゆったりとした時が持て、本当に心が安らぐのでしょう。そんな時間をできるだけ大切にして、毎日の保育にあたっています。
 お父様、お母様は毎日、仕事にお忙しい日々を過ごしておられます。だからこそ、毎日ほんの少しの時間でいいのです。夕食後や寝る前などに、子どもをひざの上に乗せて絵本を読んであげてください。親子でいっしょの時間を共有し、しっかりとお子様を受け止めてあげましょう。家庭や保育園の毎日のそうした習慣が、本に親しむことのできる、情緒の安定した子を育てるのだと思います。
 当園で2月に絵本出前講座をお願いしました。小さい子も静かに聞けたとのお言葉をいただきましたし、淡々と読んであげるのがいいんですよとの言葉も印象的でした。子どもたちは皆、絵本が大好きです。テレビのスイッチを切る勇気を持ち、よい絵本を選んで親しむ機会をつくってあげるのは私たち親なのです。お子様との楽しい時を過ごしましょう。
絵本フォーラム29号(2003年7.10)より

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