リレー

子育てしやすい環境づくり
(宮城・村田町子育て支援センター所長・香味 みよ子)


 先日、偶然に入った書店の絵本コーナーは、机や椅子が用意してあって自由に絵本をみることができるようになっており、また、その隣には、滑り台等の遊具が置かれていました。雨の日曜日、そのコーナーは大勢の親子で賑わっていました。聞いてみると、若いお母さんたちは週に何度か来ていて、子どもたちと遊んだり、お母さん同士おしゃべりを楽しんでいるとのことでした。ボランティアによる絵本の読み聞かせ等もあり、ほかに自由に遊べるところがないこともあって、子育てママたちの貴重な場になっているようでした。
 遊び場がない、集う場所がないという訴えが多い中で、当町にも昨年4月、子育て支援センターが開設し、誰でも好きな時間に利用できるように開放しています。利用者の多くは子育て中の専業主婦です。そんなお母さんたちと話をしているうちに、家の中に子どもと2人っきりになって何をしたらいいのかわからない、よそから嫁いできて友達がいない、家の中に居場所がない、私だって好きなことがしたいのに……と、いろいろな声が聞かれるようになりました。専業主婦は子どもと十分にかかわることができ、子育てを楽しんでいるのではと安易に受け止められがちですが、実は、外に出る機会も少なく、話を聞いてくれる人もいない、そして、情報があまり得られない状況にあることから、楽しむどころか、悩みや不安を抱え込んでしまう方が多いということを改めて知りました。
 支援センターがいつでも安心して集える場であることはもちろんですが、家族が、そして、地域の人々が、子育ては母親の仕事と決めつけるのではなく、その大変さを理解し、それぞれの立場から、子育てしやすい環境づくりに参加していくことが大切ではないかと思っています。
絵本フォーラム31号(2003年11.10)より

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