リレー

素話と絵本の大きな力
(福岡・読み聞かせボランティアグループ「てんとう虫」代表・末松 由美)


 私たちは、乳幼児から中学生までを対象に、素話と絵本の読み聞かせを行っています。主に小学校での活動が多く、授業時間にさせていただいている学校もいくつかあります。中には、毎月、低学年おのおの1時間ずつお話会を行っている学校もあります。
 最初は、楽しい時間として心に残るよう、わかりやすく親しめる内容のものを届けました。「お行儀よくする時間」ではなく、先生や友達と一緒にお話や絵本に触れる、心あたたまる時間にと願ったからです。回を重ねるごとに、子どもたちは聞き方、楽しみ方も上手になりました。いろいろなジャンルのものを織り交ぜ、徐々に長い話、深い内容の絵本も入れ、めり張りのあるプログラムにしていきました。先生方も心待ちにしてくださり、慕う先生が熱心に聞き入っていると、子どもたちも自然に聞く姿勢になっています。最近では、子どもたちの元気なあいさつの声、お話や絵本に集中する真剣な目、内容を想像して楽しんでいる表情が生き生きと輝き、手応えのある、充実した時間になっています。改めて素話や絵本の大きな力を感じさせられます。
 貴重な時間をいただいているので、届ける私たちも真剣です。よいお話、絵本を選び、作者の思いがそのまま届くように、誠実に、丁寧に読みます。読み方も、感情を入れすぎず、心は込めて、あたたかさ、力強さは伝わるように、アクセントや声のトーンにも気をつけて……となかなか難しいのですが、子どもの心に自然に入っていくよう、練習を重ねます。子どもたちの素直な反応も新鮮で興味深く、勉強になり、笑顔や「おもしろかった」の声が私たちを励まし、育ててくれます。「本には、楽しいのとおもしろいのと悲しいお話があるんだなと思いました。またいろいろな本をいっぱい聞きたいです」など、のびのびと自由な感想も伝えてくれます。
 子どもたちの心豊かな成長を願い、私たちもともに学び、成長していきたいと思っています。
絵本フォーラム32号(2004年01.10)より

前へ次へ