リレー

親子をつなぐかけがえのない宝
(喜多方市道光保育所・東条直美)


 人口が減少しているわが町では最近、昔からある本屋の絵本コーナーが姿を消し、手軽に画像を楽しめるビデオショップの片隅に絵本が並べられているのをよく目にします。また、子どもたちは、母親からの絵本の読み聞かせに接する機会が減り、ビデオや付録つきの雑誌を手にすることが増えてきているようにも感じます。そのため、ここ数年、落ち着きがなく話を聞けない子や、自分から遊びを見つけられない子どもの姿を多く見受けるようになりました。
 そこで、わが保育所では、絵本を通して聞く力を育てるとともに、絵本の中の言葉を通して人間らしい感情を育て、心を豊かにすることを願い、各年齢ごとに次のような「ねらい」を設定して読み聞かせを行っています。

 〔0歳児〕一人一人の興味関心を大切にし、心に残る絵本を探す。
 〔1歳児〕絵本を通して親子の結びつきを深めるとともに、絵本のおもしろさを伝える。
 〔2歳児〕心を豊かにするための読み聞かせを工夫しながら、絵本のすばらしさを伝える。
 〔3歳児〕日本語の持つ美しさを伝える。
 〔4歳児〕絵本の楽しさを伝える読み方と提供の仕方を工夫する。
 〔5歳児〕将来望ましい人になるための一つの方法として、絵本を心の栄養にする。

 また、保育者は絵本の選び方や子どもたちへの提供の仕方、読み聞かせの雰囲気づくりなどのグループ研究に取り組むとともに、運動会・保育発表会・保育修了式を記念して、子どもの年齢に合った絵本を贈ったり、保護者に対して絵本のすばらしさに気づいていただけるよう、講演会を開催したりしています。
 このように、子どもだけでなく、保護者である親にも絵本との出会いの機会をつくり、絵本のすばらしさや、子どもに絵本を読んであげることが親と子をつなぐかけがえのない宝であることを伝えていきたいと思います。
 これから絵本のすばらしさがますます広がっていくことを願います。
絵本フォーラム41号(2005年07.10)より

前へ次へ