子どもの自尊感情を大切に |
10代の子どもに限らないことですが、人間性を喪失したような事件や、八つ当たり的な事件があまりにも目につく毎日です。ぜひ読んでおきたい本があります。『本が死ぬところ暴力が生まれる』(バリー・サンダース作/杉本卓訳/新曜社)。「テレビに始まってパソコンに至る電子機器が若い世代をとりこにし、文字を取り去り、結局は思考する力を奪い、それがしばしば暴力につながっていく(帯より)」解決の糸口は声を回復することだと、この本は伝えています。文庫や読み聞かせ活動をされている方も、ぜひ読んで議論してください(難しいと感じた方には、「訳者あとがき」を先に読まれることをお勧めします)。
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『本が死ぬところ暴力が生まれる』 (新曜社) |
ある事件の判決の日、新聞に引用されていた哲学者の言葉があります。「『私には愛する人などいないし、いつ死んでもかまわない』という人に倫理は無力である」問題を起こす子どもの多くに、自尊感情の低さが指摘されています。自尊感情とは、「自分は大切なかけがえのない存在だ」と思えることであり、誰かに愛されたり、認められたり、受け止めてもらえたりすることで培われる感情です。「私は愛されていないし、どうなっても誰も心配も悲しみもしない」と思ったら、自暴自棄になりやすいのではないでしょうか。
「生まれてきてくれてありがとう」と思った誕生のとき、子どもの存在自体がうれしいと思いませんでしたか。なのに子どもが大きくなるにつれ、指示や命令のきつい口調や、「あとでね」とあしらうことばかり増えていませんか。大人同士でこうされ続けると不快・悲しみ・あきらめなどの感情になるのは誰でもわかるはずなのに、親子関係の中では気づきにくいですよね。
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しっかりと受け止めてあげてください。愛情を伝える第一歩です。話を聞いてください。目を見てください。肌にふれてください。そして、絵本を読んであげてください。特に年齢よりもしっかりしている子は、頑張って背伸びしていることも多いようです。時々、年齢相応に甘えさせてやってください。ホッと安心できる時間をつくってやってください。 |