私の絵本体験記
「絵本フォーラム」23号(2002年07.10)より
受け継がれていく絵本に願いを込めて
田岡 恵子さん(兵庫県神戸市)

写真  私が絵本と出会ったのは、幼い時母に読んでもらった『メリーちゃんのひつじ』です。毎晩寝る前にいろいろな絵本を読んでもらっていました。それは小学校低学年まで続きました。私は聞きながら次々と想像し、考え、自分の空想を広げて楽しんでいたような気がします。その後、自分で読めるようになり、ますます本が好きになっていきました。
 そんな私が自分の初めての子どもを授かったころ、義母が昔、夫に読んでいた本を数冊渡してくれたのがきっかけで、私の子どもへの読み聞かせが始まりました。お腹の子に向かって読んでいると一体感ができ、幸せな気持ちになったものです。
 生まれて2カ月くらいから読み聞かせを再開し、1歳すぎに『ほるぷフォーラム』と出会い、一日に読む本が20冊を越える時期もありました。子どもが一人でじっと本のページをめくり、本の世界へ入っていく姿を何度も夫と嬉しく眺めていました。『おつかい』が気に入りよく読んでいた2歳の頃は、雨、風、雷等、自然界のことに非常に興味を持ち、「どうして?」の質問攻めの毎日でした。『はじめてのおるすばん』は繰り返し読むうちに暗記して「3歳になったら、僕もお留守番できる。」と言っていました。この頃、子どもは本から様々なことを吸収しているとよく感じました。下の子が生まれた時には一時不安定な精神状態になった上の子をひざにのせて、本を読み聞かせながら色々な話をしたものでした。
 今は寝る前に2人(上の子7歳、下の子4歳)が1冊ずつ持ってきて、それを私、時には夫が読むのが習慣となっています。読んでいるととても安らかな気持ちになり、じっと聞き入っている子どもたちが、いとおしく感じられます。
 そして、この家族の大切な時間をこれからもずっと持ち続けたいと思います。
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