私の絵本体験記
「絵本フォーラム」28号(2003年5.10)より
「おそい」「もうムリ」 「今さら」はないのだ
内田 美保さん(福岡県福岡市)

写真  幼い頃から絵本を読み聞かせしていたわが家の長女は本の虫。時間を見つけては読書をしている。育児に追われ、本など読んでやれずに育った次女は本ギライ。彼女が本を読む姿は一度も見たことがない。
 そんな本ギライの次女が私立中学に入学した。その中学には25分ほどの朝読書の時間がある。「朝読書用の本は図書室から借りてはダメ。自分の本をちゃんと持って来るように」とのこと。当然、読書なんてしない次女は本を持っていない。本の虫である長女の本ではレベルが合わず、三女(小学5年生)の本でも「長い」「字ばかり」とあっさり拒否。仕方なく朝読書初日は、幼稚園時代の配本だった絵本というありさま。一体どうなるのやら…と心配していた。
 そうして2ヶ月が過ぎた。そういえば最近テレビも見ないと思っていると、次女は部屋で読書。分厚い長女の本を読んでいる。「おもしろくて途中でやめられない」と言う。「こんなに読んだよ」と言う。その変わりようにびっくり。まさか…と思わずわが目を疑ったほどだ。
 もう遅いだろうと私は思い込んでいた。今さら本を読んでやったところで、この子が本を読むようにはならないと決めてかかり、あきらめていたのだ。しかし、本を読むようになるのに「遅い」「もうムリ」「今さら」はないのだとわかった。きちんとした朝読書には、きちんとした成果があったのだ。
 今、長女だけでなく、次女にも本が必要になり、わが家の家計は本代の占める割合が増えている。うれしいことなのだけど…?
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