私の絵本体験記
「絵本フォーラム」28号(2003年5.10)より
私たち親子と絵本との出会い
藤木 久美子さん(山形県山形市)

写真  子どもが生まれて、夫婦気ままな今までの生活は一変しました。帰りの遅い夫を待ちながら、狭い部屋の中で、朝から夜遅くまで子どもと向き合い、この長い1日の時間をどうやり過ごしていったらいいのか思い浮かびませんでした。しかし、母親として、何か子どもに構ってやらなければいけないという気持ちが常にあり、いないいないバアをしたり、膝に抱いてシーソーをしたり…。しかし、すぐにネタは尽きてしまい、どうしたらいいものかと思い悩んでいた時に、絵本と出会いました。
 何もわからないのではと思いつつもページをめくると、子どもは意外にも反応し、顔に笑みを浮かべながら見入っていました。私はというと、それまでのイライラした気持ちがスーッと消えていき、子どもとの一体感や不思議な心地よさに会えるのでした。そんな私の幸福感は子どもにも十分に伝わっているようでした。
 その頃は、ネタが一つ増えて良かったなくらいの気持ちでしたが、今思えば確かに娘は言葉も早く、自分の気持ちをある程度言葉で表現できるからか、キイキイ言ったり、ぐずり続けるという事はほとんどありませんでした。また、物を見るときなどは、大人でも気付かないような所まで目に入ってくるらしく、例えば道を歩いていて不細工な犬に出会った時、「あんまり可愛くないね。顔が怖いもん」などと私が失言すると、「でもママ、あの犬とってもしっぽがくるっとなってて可愛いよ」というような具合です。
 最近、花の絵を描いて賞を頂けた一因にも、絵本が影響しているような気がしてなりません。
 私たち親子にとって、絵本との出会いは素晴らしいものでした。これからも絵本の読み聞かせは、子どもとの大切な時間となるでしょう。
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