私の絵本体験記
「絵本フォーラム」29号(2003年7.10)より
お母さん、絵本でいいことたくさんあったよ
岸本 千恵さん(大阪府枚方市)

写真  わが家には、5歳の息子と、もうすぐ2歳になる娘がいます。ほるぷとの出会いは、息子が2歳くらいのとき、絵本の講演を聞きに行ったのがきっかけでした。私自身、絵本に囲まれて育ち、そのおもしろさはわかっていたものの、1セット数万円もするものを購入することに躊躇していました。そんな私に、「絵本は手元に置いて、好きなときに読んであげなさい。いいことがきっとあるから……」と言ってくれたのは、今は天国にいる母でした。
 あれから3年たち、絵本はうさぎコースまでそろい、たくさん増えました。息子は近ごろ、1人で読めるようになったことがうれしいらしく、毎日何冊もの本を読みあさっています。そのときは、本当に絵本の中に入り込み、その世界でいろいろな体験をしているようです。目が輝き、いきいきとしたその表情見ていると、成長を感じます。それでも時々、「読んで」と言ってくるときは、応じるようにしています。あんなに甘えただったのに、妹が生まれてからは、がまんしているのか母親を譲ることが多いのですが、このときばかりは思いきり甘えています。
 母の生まれ変わりのような娘は、やっと興味が出てきたようで、毎日お気に入りの本を持ってきて、絵を味わい、においを嗅ぎ、栄養を吸収するかのようにして読んでいます。読み終わると必ず、「もういっかい」とかわいい声を聞かせてくれます。それが何度も続くので、忙しいときや疲れているときは大変なのですが、あの声で言われるとうれしくなってくるから不思議です。
 お母さん、あのとき勧めてくれて本当にありがとう。絵本のおかげで、少しゆとりを持って子どもたちと接することができています。今日は、パパが読み聞かせをしています。いいことがいっぱいあったよ。絵本を読む声が、天国にも届きますように……。

前へ次へ