私の絵本体験記
「絵本フォーラム」30号(2003年9.10)より
子どものために、親のために
井上 麻衣さん(福岡県前原市)

写真  読み聞かせを始めてまだ3カ月ほどですが、子どもだけでなく大人も絵や色にいやされ、優しくなれることを知り、もっと早くやるべきだったと感じています。
 子どもが8カ月のころに離婚。子育ての楽しみが今までわからず、ただ毎日が過ぎるばかりでした。何か子どものために残してやろう、もっと距離を近づけたいと思い、絵本を購入。初めは子どもより私や母のほうが夢中になり、読むたびに童心に返りました。でも、だんだん子どもに対する思い、そして子どもが思う気持ちがわかるように変わり始めました。
 「自分が変われば周りも変わる」と言いますが、そのうちに子どもが「本を読んでほしい」と持ってきたり、絵の中の果実を食べたり…。子どもって、こんなふうに思うのかぁ、かわいいなと、今まで感じられなかった思いと日々新しく出会えることに、正直、感動しています。今でももちろん遅くなかったと思いますが、もう少し早く絵本と出会っていたなら、子育てが一回り、二回りと変わっていたかもしれません。
 これから大きくなっていく子どものために、いろいろな優しさや思いやり、大切さを学べるすばらしいものを手に入れたと思っています。言葉では伝えられないことを、絵を通して、動物や植物が教えてくれる。大人も一緒に学べる。私は声を大にして、「絵本で子育て」を広めたいと思っています。 
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