私の絵本体験記
「絵本フォーラム」34号(2004年05.10)より
私と児童文学
中村 理恵さん(兵庫県神戸市)

写真  私は、梅花女子大学児童文学科で子どもの本の研究・創作をしている学生です。現在、ほるぷフォーラムでお手伝いをしています。こうした今の私がいるのは、母が私に与えてくれた本の影響だと思っています。
 私の家は、常に周りに本がある環境でした。最初の本との出会いは絵本です。小さいころはよく、「絵本、読んで」と母のほうに駆け寄っていったり、1人でモクモクと絵本を眺めていたりしたと聞きました。
 子どものころの記憶をたどると、お気に入りの絵本を何回も読んでいたことを思い出します。とても幸福な時間でした。子ども時代はその人の人生を決定する力を持つといいますが、私はその典型です。児童文学とのつきあいは、生まれてから今まで続いています。そして、いつまでも私を魅了し続けることでしょう。
 私は、児童文学は「子どものため」だけにある本だとは考えていません。むしろ年齢制限なく、誰でも楽しむことができる芸術の一ジャンルだと思います。人の心に響く真実を児童文学は描いていると思っています。
 昨今、戦争、犯罪、少年の心の闇などがニュースで取りざたされていますが、それは大人も子どもも心の栄養が不足しているからではないでしょうか。お子さんだけでなく、大人の方々にも、ぜひ児童文学を読んでいただきたいです。忘れかけていた大切なものを思い出させてくれます。
 すばらしい児童文学を1人でも多くの方と分かち合っていきたいと願っています。
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