私の絵本体験記
「絵本フォーラム」38号(2005年01.10)より
絵本が教えてくれたこと
武田 あや子さん(山形県山形市)

写真  子どものころ、寝る前に、母は私と兄に絵本を読んでくれました。それが今でもうれしい思い出として残っていて、私も自分の子どもに同じように本を読んであげようと思っていました。
 息子の蒼が8カ月のころ、偶然、『ほるぷこども図書館』を知りました。数日悩んだ末、購入を決定。わくわくしながら読み聞かせを始めました。
 蒼の反応は、すぐにありました。じっと絵を眺めているのです。何も言えない赤ちゃんでも、「何だかお母さんがおもしろいことをしているな」と感じたのでしょうか。
 10カ月ごろには、『いない いない ばあ』で、私が女の子の絵を手で隠して読んでいると、その手をせりふと同時にどかせてみせ、1歳のころには、『でんぐりでんぐり』を読むと、自分も一緒になってでんぐり返っていました。男の子にしては言葉も早いほうでしたが、最初に話した言葉が『じゃあじゃあびりびり』のまねをして、「じゃあじゃあ」だったときは、少し複雑な気持ちでした(「ママ」じゃないんですもの!)
 今では想像力も豊かになり、手遊びで「赤ちゃんと赤ちゃんがごっちんこ」と習ったときに、「赤ちゃん、えーんと泣いちゃうね」と言ったのです。小さい子を思いやる気持ちが育ったんだとうれしくなりました。最近、他人の気持ちがわからない子どもが増えていると話題になりますが、絵本のおかげで、そんな心配はしなくてもよさそうです。
 絵本を読むことで、蒼は想像力だけでなく、集中力や意思伝達力も養われているようです。来年はいよいよ幼稚園に入園です。きっとすぐにお友達ができるでしょう。でも、蒼、幼稚園ではたくさんのお友達と一緒に絵本を読んでもらうから、全部の絵をいちいち確認できないよ。先生を困らせないでね。
前へ次へ