私の絵本体験記
「絵本フォーラム」39号(2005年03.10)より
親から私、私から娘に
土性 真由美さん(滋賀県草津市)

写真  私が『ほるぷこども図書館』を知ったのは、娘の離乳食がうまく進まず、悶々とした日々を送っていたころでした。初めての子で、どうしても他の子どもや情報誌と比べてしまい、焦り、イライラし、言葉かけも食事に関する単調なものになっていたころです。
 絵本講座に出席し、絵本を母の声で読んであげることは情緒を学び、人への思いやりを知り、正しい日本語の言葉遣いを伝えられるというお話を聞きました。子どもと2人、狭い世界にいた私は、絵本に救われるかもしれないと思い、主人に講座での話を伝えて説得し、思い切って購入しました。
 思い起こせば、私は父からたくさんの絵本を与えてもらい、眠るときには何度も母に読んでもらっていました。その記憶は、思い出しても心あたたかく、娘にもそんな思い出を持って母になってもらいたいと思いました。
 最初は何の反応もなく、「聞いてる?」とつい口に出してしまうときもありましたが、たくさんの絵本の世界に私自身が引き込まれ、続けられました。そのうち、『じゃあじゃあびりびり』の擬音の部分を、私に続けて口にするようになったのです。充実感と、娘との結びつきが感じられ、とてもうれしかったのを覚えています。
 2歳10カ月になった現在は、父に1セット、私たちでもう1セットを新たに購入しました。そして、昔の私のように、眠る前に好きな絵本を選び、「もう1回! もう1回!」とせがんでいます。読み手のほうが先に眠くなるところまでそっくりなようです。
 まだまだわがままで、友達の子どもがまるで妖精のように映るときも多々ありますが、うちの子は、絵本は集中して聞き、1人で楽しそうに読んでいる、と思えることが救いになっています。今の自分中心の世界から、絵本が教えてくれる人への優しさやルールを持って、たくさんの友達の中で成長するようになるだろうと自分に言い聞かせているからかもしれません。
 今、おなかに2人目の子がいます。聴覚も発達する時期に来ているので、2人に向かって毎晩、読み聞かせを続けています。
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