私の絵本体験記
「絵本フォーラム」43号(2005年11.10)より
今日も私は絵本を読む
内田 祐子さん(大阪府吹田市)

写真  今日も私は絵本を読む。私の声を聞きながら、一緒に「あーあーうー」体全体を使って母の声を聞く喜びを表す生後3カ月の娘。こんなに小さいのに、絵本を読んでもらっていること、語りかけてもらっていることを喜んでいるのが手に取るようにわかり、読んでいるほうも楽しくなる。
 昨年4月より1年間、絵本講師養成講座を受講し、絵本のすばらしさ、絵本の持つ力、絵本で子育てすることの大切さ、喜びを学んだ。そして今、2人の子どもを通して、身をもって体験している。絵本を読む。美しい、きれいな日本語を大好きな母の声で聞く。とても大切な時間。姉は2歳半。絵本を読んでもらうのはもちろん大好きだけど、自分で読むのも大好き。ふと目をやると、妹の横に座り込み、今日も絵本タイムが始まっている。字も読めないのに、家にある絵本の題名は背表紙を見ただけで全部わかっている娘。すっかり覚えているものもあれば、絵を読み自分なりにストーリーをつくり、物語の世界がどんどん広がっていっているものもある。一丁前に妹に読んであげているらしい。見ていて心に幸せが広がる瞬間だ。
 親は子に願う。本の好きな子に、表現力の豊かな子に、人の気持ちがわかる子に。でも、それらは練習や訓練でできるようになるものではない。そして、そうなってほしいから絵本を読んでいるわけではないので、できないからといって怒ったり、いらだったりすることもない。でも、おまけのように得ているものの大きさへの感動は、何ものにもかえられない喜び。
 「ママー、今日はこれにするー」娘が絵本を選んでいる。今日も私は絵本を読む。その時間がとても楽しいから。子どもとの大切で幸せなひととき。そして、子育てをしている、また、これからしようとしている多くの親たちへ伝えていきたい。子育ての中での絵本の力・すばらしさを。
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