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2006年6月24日(土)

芦屋市ラポルテホール
〜 「読み聞かせ」について 〜 第2編

報告者・楠 まどか


第一回講座終了後、初めての課題提出を経て6月24日待望の第二回講座が開催された。

講座の写真  午前の部は批評家・エッセイストである飫肥 糺氏による講演「絵本で育つ親と子のコミュニケーション」
 氏は子どもたちのおかれている現象をわたしたちの前に示した。物質的に豊かになり、情報に溢れあらゆる事物が昔とはかけ離れたスピードで動く現在。大人たちはその渦の中で振り回され壊れてしまっている。そんな大人たちに囲まれて子どもたちも逃げ場がなくまた壊れてしまっている。
 氏の読んでくださった新川和江氏の詩『赤ちゃんの目』が心に響いた。
 「底の底まで澄んだ赤ちゃんの目 濁らないようにすべてを清めたくなる」(引用)
 わたしたち大人はかつて子どもだった頃のことを少しでも思い出し、その清らかさにおののきつつも自らを清めなければならない。
 「自らを清める」受講生たちはその術をしっかり理解しただろう。氏の絵本の読み聞かせの中にその術はあった。子どもとは…そして真の大人とは…。豊かな絵本の中にその答えはある。

講座の写真  午後の部は絵本作家とよたかずひこ氏による講演「でんしゃにのってももんちゃんがやってくる −自作を語る−」
 先生と呼ばないでとおっしゃるその温かでユーモア溢れる人柄と作品誕生にまつわるお話、とよた氏だからこそ聞くことができた子どもたちの声をはじめとするエピソードの数々に会場は笑いに包まれた。
 とよた氏はお歳を書くのは非常に失礼だが、50代とは思えない若々しさで毎週近所の子どもたちと三角ベースをして遊ぶのが常だという。
 「大人も子ども、何となく閉塞状況に陥っている現在、生きていればこんなおもしろいこともあるんだよ、ということを力づくでも伝えていける楽しい絵本を創っていきたいと切に思う」(絵本フォーラム第43号「絵本のちから絵本の可能性 特別編」より)
 と語る氏の強い想いを子どもと関わり続ける姿に感じた。
 澄んだ子どもの目をもって創られた自作絵本の読み聞かせ。その至福な時間に絵本の力を教えられた、そんな時間だった。

講座の写真  最後のグループワークでは『いない いない ばあ』(松谷みよ子/文、瀬川康男/絵、童心社)の読み聞かせの実践を行った。どのグループでもその千差万別の読みに「こうも違うのか」と驚き素直な意見が飛び交い時間が足りない程であった。
 私自身も昨年同じ内容のグループワークを行ったのだが一年の勉強を終え、今年はよりはっきりとその違いを感じ「絵本は読んでもらう本である」ということ「絵を読む」ということを考慮した読み方がどのようなものかを考えさせられた。
 受講生の皆さんにも「読み合う」機会を持ち続けてもらいたい

(くすのき・まどか/絵本講師)

 《受講生の声》

●上山 恵美子さん
講座の写真  「私自身、絵本に慰められることが多く絵本に生きる力、喜びをもらってきました。この体験からカウンセリング実務士の資格を取得、心理学、心の面から絵本を読み直してみたい、絵本セラピストという分野を開拓したいと思っています。
 いろいろな人、いろいろな絵本との出会いを楽しみに、今からがスタートだと心を新たにしています」

●奥田 早苗さん
講座の写真  「子どもが幼稚園のときに絵本と出会い、家庭で絵本の読み聞かせを実践してきました。子どもが物語へ移行し絵本も卒業と思っていたときにこの講座を知りました。もう一度絵本を開いてみたい、絵本への想いを同じくする人たちと勉強してみたいと思い受講しました。受講をきっかけにまた小4と小6の子どもと絵本を楽しんでいます。その絵本を読んでいたときの懐かしい思い出と共に、読んでいるときの子どもたちの様子にまだまだ絵本を楽しんでいるな、中に入っていけるんだなと絵本のもつ力を改めて実感しています。これからの講座がますます楽しみになっています」

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