第 4期「絵本講師・養成講座」芦屋会場の第2編「読み聞かせについて」が6月30日に開催されました。昨夕の雷雨が嘘のようによく晴れた青葉の美しい初夏の一日でした。
まず事務局より嬉しい報告がありました。今まで名誉会員であった中川正文氏がこの度、顧問に就任されました。
とても心強く、また改めて心を込めて子どもたちに絵本を届け続けていきたいと思いを強くすることができました。
そして本編講師の飫肥糺氏が『たましいをゆさぶる絵本の世界』を NPO法人「絵本で子育て」センターより刊行されました。中川正文氏の推薦文も寄せられています。
午前中の講演は批評家・エッセイストである飫肥糺氏で「絵本で育つ親と子のコミュニケーション」という演題でした。
毎朝 4時半に起床され40〜50分程、ウォーキングをされているそうで、まずは会場のみなさんで腕を上にあげ背筋をぐっと伸ばしすっきりしたところで講演が始まりました。
“どんな人間を子どもというのか……”ただ単に10歳前後の人たちを子どもというのか、学校も行かず裸足で物乞いをしている子ども、算数ができたりスポーツにたけている子を子どもというのかと提起されました。
ジャン・ジャック・ルソー著の『エミール』より「万物をつくる者の手をはなれるときすべてはよいものであるが、人間の手にうつるとすべてが悪くなる」(引用)を紹介され、氏は、自分で自分を育てる時代が必要で大人は命に関わることだけに気をつければいい、野に放てとまではいかないけれどそれに似たような体験をさせているか、そして、とんでもない事をする子どもが増えているがそれは今の大人に責任があると感じていると言われています。
コミュニケーション能力を高め“遊びの中の絵本”という読書生活を過ごして欲しい。読み語るのは大人、読んでもらっていろいろな体験をするのは子どもと結ばれ、絵本を読んで語ってくださいました。
氏の著書『たましいをゆさぶる絵本の世界』では氏の思いがまだまだたくさん語られています。読まれた方はたましいをゆさぶられる程、素晴らしい絵本の世界が広がっていくことでしょう。
午後の部は絵本作家のとよたかずひこ氏で「でんしゃにのってももんちゃんがやってくる−自作を語る−」でした。数週間前にご病気をされたということでしたが、優しく柔らかな物腰で笑顔がいっぱいの穏やかなひとときでした。
自作の絵本や紙芝居をたくさん読んでいただき、みなさんも童心にかえることができたのではないでしょうか。
それぞれの作品が出来るまでのエピソードを教えていただき、氏ご自身が子育てを楽しんでおられたからこそ純粋で楽しい作品が次々と生まれてくるのだろうなと感じました。
子どもがストーリーをわかっていても何度も何度も読んでと言うのは安心感を求めている現れであり、そういう気持ちを大切にし、おっとりとした時間を共有したいとおっしゃられました。
氏が言われるように読み手が楽しみながらもエネルギーを与えていく必要性を感じました。
続いて藤井勇市専任講師よりリポートの全体的な講評に加え、学ぶことの本質として知識を得て自分が変わることが大切であると教えていただきました。
そして読み聞かせというものは技術から入るものではなく子どもとどう関わるか、すなわちどう生きていくか。
今を生きている大人の責任として絵本を読み聞かせる必要があるといわれました。
受講生一同、本講座の目的や意義が明確になったのではないでしょうか。
最後のグループワークでは『いないいないばあ』(松谷みよ子/文、瀬川康男/絵、童心社)をお互いに読み合いました。
十人十色……みなさんそれぞれの読み方でしたが、楽しめることが実感できました。
今日の講座の主旨がこのグループワークで認識できたのではないかと思います。
私自身これからも研鑽を積み、絵本の世界をたくさんの人と共有できる喜びを大切にしたいと思いました。 |