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報告者
東京7期生
渡里 禎子 
第6編 〜わたしの絵本講座〜
2012年03月24日(土) レインボー会館
主催:NPO法人「絵本で子育て」センター  共催:ほるぷフォーラム社
協賛:岩崎書店・偕成社・金の星社・こぐま社・鈴木出版・童心社・福音館書店・ほるぷ出版・理論社

 小雨に煙る東京は心なしか暖かく、神田川のほとりの桜のつぼみに、「もう春ですよ」と告げているかのような3月24日(土)、第8期「絵本講師・養成講座」(東京会場)の閉講式が飯田橋レインボービル2F中会議場にて開催されました。
会場内は、名前を呼びあったり、挨拶を交わしたりと笑い声と会話が弾み、朝からにぎやかで明るく和やかな雰囲気に包まれていました。

閉講式は、修了証書授与式から始まりました。一人一人名前を呼ばれ、返事をして前に行く姿に、緊張感と共にやり通したという自信がうかがわれ、凛とした姿がとても気高く美しく見えました。
森理事長のお祝いのことばに、「目標に向かって勉強されたことで皆さんの表情が生き生きと輝き豊かなお顔になられていました」と称賛してくださいました。
また、どのように活動したらよいのか不安に思っている方たちに「壇上に立ってお話しすることだけが絵本講師ではありません。子育ての中で、職場で、友達に話すといった身近なことから始めていってください。リポートから解放され、解放された後にまた学びを続けてください。物事をどう考えるか、私はこう思うなどいろいろ考える人がたくさんいる、そのような中で学び考えてください。私もたくさん学ばせていただきました」とお話をいただき、自分なりのはじめの1歩を踏み出すこと、そしてこれで終わりではなく、目標や考え、楽しさがある限り学びは続くことを暖かい言葉と眼差しで語ってくださいました。

藤井専任講師による全体好評では「全体のリポートを読んでとても感動した。立ち止まって読み返したリポートもたくさんあった。これだけのものを作った自信をもってほしい。また、体験談が多く入っていた。一緒に横にいて寄り添い考えるという姿勢が良い。これは相手を感動させ納得させる。皆さんは絵本を勉強しているのでたくさんの絵本を知っているのはよい。しかし、マニアックなものは自分で楽しむのはよいが相手に理解してもらうことは難しいのではないか。
絵本講師として、また絵本を届ける者として上から教え諭すのではなく一緒に考えあうこと、聞いて戴いている方に、畏怖と敬意の念を常に持っていることがたいせつ」。

<来賓祝辞>
東京第7期生 川口結実さんから
昨年は3月11日の東日本大震災の直後で修了証書授与式が中止になったが、今回同席できたことが嬉しい。今回の震災で「絆」が飛び交いばらばらになっていた人間関係のつながりが叫ばれるようになってきている。この現状から絵本を通してのつながりをたいせつにしていきたい。地域で絵本講師をしながら見えてきたことは、必死に子育てをしている母親の姿である。絵本を読むときだけでもリラックスし、楽しんでほしいと願っている。絵本講座をすることは、とても栄養になる。生の声を聴く畏怖と敬意の念を持つ。そして悩みを聞いて考えてくれる仲間が励みになる。はばたきの会で待っています。と激励してくださいました。

「絵本で子育て」センター理事 中山光江さんから
「1年間頑張りとおし仲間づくりができたのではないでしょうか。絵本とは何ぞや? 学べたでしょうか。絵本の力、深さを実感されたことと思います。学んだという力がみなぎっていると感じました。これからは、地域に帰り人に伝え、子どもに伝えてください」と労をねぎらい、背中を押してくださるお言葉をいただきました。

太陽出版 籠宮敏治様
お疲れ様でした。子育て中の人、仕事を持っている人等々の修了式は、達成感、安堵感で和やかさが伝わってきました。出版界の現状は、15年連続マイナス成長の業界である。また、雑誌の売り上げですら1兆円を割って横ばいの状態である。新刊も寿命が短くなってきている。書店の形態も大型化、チエーン化し、地元に昔からある書店に本がいかないのが現状になっている。その中で児童書は、100社の中で福音館48位、ポプラ社57位、偕成社86位(アマゾン調査)となっている。これは、児童書においては、少なくなったとはいえ、書店に行き子どもと共に手に取り選ぶ人が多いということがいえる。絵本講師の草の根的な活動として、絵本の普及に少しでも努めてほしい。絵本で育った子どもは、本好きになってくれると信じる。と家庭、地域など自分の周りから、この講座で学んだことを伝えていく、文化を伝承していくたいせつな役割があることを痛感しました。

梅田俊作先生の講演
15年前に書かれた『しらんぷり』がアニメになりロードショーが始まることになった。なぜ今アニメ化されたのかは、今なお続いているいじめに加え、震災や原発……。
アニメ化にあたっては、アニメの好きな多くの男性が携わり完成できた。横につながるとえらい力になることを知って驚いた。
自分はロスタイムに入った。今は4歳と2歳半の孫と遊ぶことで、今まで見えなかったことが見えてきて、楽しくなってきた。4歳の孫や母親は、良い子のマニュアルを身に着け周りみんなが生き急がせようとしている。ところが2歳半の孫は、天衣無縫に生きている。ちょうど縄文時代以前からのDNAがなまなましくある。試し、夢中になって遊ぶ。感動したことや実体験したことを家に帰ったら、繰り返し、繰り返し遊ぶ。自分の頭で考え、自分で動き感動の再現をしようとする姿、夢中に遊ぶ姿を見て、この時代を長く保障することが大人の仕事だと思う。
梅田先生の奥様からは、『おかあさんもようちえん』を読んでいただきました。何歳になっても読んでもらうというのはいいですね。梅田先生の奥様の声を聞きながら、じっくり絵を見てお話の世界を楽しめました。子どもたちも絵本を読んでもらうひと時は、きっと幸せな気持ちに浸っているのでしょうね。幸せ感は、実感として、体感としていつまでも心の奥に残っていくのかなと思いました。

記念撮影の後、立食パーテイー式の懇談会が催されました。今までの苦労よりもこれからのことに話が弾んでいるようでした。各グループからは、「環境も年代も生き方も違うメンバーから、いろいろな考え方を学べたことに感謝している」「この年になって勇気を出してきたことがよかった。思い立った時は、やってみよう」「震災の直後で心がざわざわしたが、会えたことは何かの縁だと思う。いろいろなことを乗り越えて絵本とのつながりを続けたい」などなどの発表がありました。
1年間を通してじっくり栄養をため込み、蕾を膨らませてきて、今まさにそれぞれの色合いの花を咲かせようとしている仲間たち。様々な苦労が学びとなり、楽しみに変わりました。楽しむことの素晴らしさを、絵本講座を通して伝えていきたいですね。(わたり・ていこ)

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