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報告者
東京8期生
ジェリー・マーティン
第3編   〜 絵本講座について 〜
2013年9月28日(土) 飯田橋レインボービル
主催:NPO法人「絵本で子育て」センター  共催:ほるぷフォーラム社
協賛:岩崎書店・偕成社・金の星社・こぐま社・鈴木出版・童心社・福音館書店・ほるぷ出版・理論社

 第10期「絵本講師・養成講座」東京会場第3編は、2013年9月28日(土)、飯田橋レインボービにて開催されました。

今回の講師は、批評家・エッセイストの飫肥糺氏と絵本作家のとよた かずひこ氏でした。

午前の部は飫肥糺氏の講演でした。講演が始まる前に飫肥氏のプロフィールが紹介され、その間 受講生の皆さんは緊張している様子でした。私も以前に受講した時は 同じ気持ちでいました。けれど飫肥氏の話が始まると、聞いている皆さんの顔が真剣になり、話に引き込まれるかの様に身体がちょっと前向きになっていました。講演はいくつかの小テーマに分かれていて、飫肥氏の体験談とそれに関連した絵本の紹介と朗読で進められました。


「見てほしい」
飫肥氏が実際に取材した戦争の話を、一般的にあまり目にする事が無い様な残虐な写真を交えながら話してくださいました。それを見て、私は大きなショックを受けました。「人間の社会は美しい、素敵、可愛いだけではなく暗い、醜いところもある。けれどこの暗い部分を隠すのはダメ」だと、でも「逆に見てほしい」と話されました。
ここでは『おもいだしてください あのこどもたちを』が飫肥氏により朗読されました。
飫肥氏が読むその「声」で、この絵本の白黒の写真は映画の映像のように甦り、重い内容は受講生の心に直に送られました。私はこの絵本は もう何回も読んだ事があって、内容も分かっていましたが、それでも朗読の途中で涙を流しました。


「色んな人が必要」
このテーマでは、飫肥氏の学生時代を例えにして、体験談をしてくださいました。 学生時代に飫肥氏がいじめられていたことに触れ、いじめる側のいわゆる「いじる」方はその行為を深くは感じずにすぐに忘れるかもしれませんが、いじめられる側 いわゆる「いじられる」方は深く感傷し、なかなか忘れられないものだと話してくださいました。でも、いつ自分が「いじる」側に立つのか、「いじられる」側に立つのか、自分の行いをよく考えて行動しなければならない。とあらためて教わったように思いました。そしてここでは飫肥氏は『ガンピーさんのふなあそび』を朗読してくださいました。これは「約束」がテーマの絵本です。「いっしょに つれてって」と言ってくる子どもや動物達に、船に乗る前にガンピーさんは「(乗っても良いけど)けんかさえ しなけりゃね」とか、その子に合わせて「○○しなければね」とやってはいけないことを言い渡し、子ども達も約束しますが、結局皆が約束を破って 川に落ちてしまいます。でもガンピーさんは怒りません。ガンピーさんはただの優しい人なだけだったのでしょうか? この絵本に隠されている、もう少し深い話についても話してくださいました。


「個性のない に育つ」
 最後に現代の子育てと教育について 飫肥氏は、よく聞く「個性豊かに育てる」のはあまり好きではなく、「個性のない育て方の方が良いではないか?」との話をされました。さらに、親のやりたい事、親が子どもになってほしいものではなく、子どもが好きな事を自由にさせれば良い、と。
後者は私の耳に強く残りました。子どもの可能性を広げてあげることはとても大事な事ですが、その選定を親が押し付けるのではなく、子供が自分で選んで継続して行く。仕事上 教育の現場に立つ私にとっても、考えさせられたテーマでした。

ここでは講演終了の時間となり、残念ながら朗読はありませんでした。

午後の部は、絵本作家とよた かずひこ氏がポディウムに上がりました。
皆の緊張感をほぐすために、とよた氏は笑い話を始めました。それから自身の作品を読み始めました。


「生活からアイデアが生まれる」
 最初に『バルボンさんのおでかけ』の朗読がありました。会場の皆が子どもの頃に戻った様に、目をキラキラさせながら、クスクスと笑いながら聞き入っていました。また、紙芝居も読んでくださいました。
とよた氏は自分の絵本イベントにたくさんの紙芝居を使っているそうです。他の作家さんのイベントでは音楽や、歌を歌ったりしますが、とよた氏は参加している人たちとコミュニケーションをするために紙芝居を使っているそうです。『ゴロゴロゴロン』の紙芝居の最後の場面(布団のゴロゴロ)は、寝起きが悪い とよた氏の娘さんからアイデアを貰ったのだそうです。


「人気の秘密」
次に、とよた氏の大人気作品「ももんちゃん」シリーズや「おいしいともだち」シリーズの裏話、人気の秘密を教えてくださいました。赤ちゃん向けの絵本は「赤ちゃんが楽しむ」だけではなく、読み手である「親にも楽しんでほしい」との考えがあるそうです。さらに、言葉選びについても話してくださいました。
とよた氏の絵本の対象は子どもが多いのですが、言葉を選んでいる時は「子どもはこの言葉は知らない」とか「ここは子どもたちにウケるかな?」とは あまり考えないのだそうです。1回目、2回目に読んだ時には言葉の意味が分からなくても、いつかは分かるようになります。それは子どもが成長の階段をまた一つ上った事を示しています。


「講演を終えて」
1編2編と違って、今回(3編)は第10期の中では、初めて2人の講師に講演をしていだだきました。そのため、グループワークの時間は十分とは言えませんでした。それでも受講生の皆さんは、オススメの絵本、好きな作家さん、レポートについて等 活発に討議されておられました。
講座終了後も その日に聴講した内容について、受講生の皆さんと熱く話しました!
受講生の皆さん、1日本当にお疲れさまでした。皆さんはどんなレポート書くのでしょう。(ジェリー・マーティン)

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