第12期「絵本講師・養成講座」東京会場第4編が2015年11月28日、飯田橋レインボービルにて開催されました。
午前の部は、森ゆり子理事長の講演でした。保育園のお子さんをもつ保護者対象の絵本講座の実演です。『ちびゴリラのちびちび』(ルース・ボーンスタイン/さく、いわたみみ/やく、ほるぷ出版)の読み聞かせから、大人と子どもが絵本を読むときの違い、絵本の時間を楽しく過ごすために、どのようにしたらよいか?のお話でした。そして、情緒を育てていくためには、どのようにしたらよいかを、『いないいないばあ』(松谷みよ子/文、瀬川康男/画、童心社)の絵本を使ってお話しがあり、今の中高生のアンケートのデータをもとに、子どもたちに愛が伝わっていない現状があり、愛情を伝えてほしいというお話でした。
愛情を伝えるためにも、絵本を読んでほしい。親子で絵本を楽しむことで、生きていく力を育むことができるということ、心を育てるということはどういうことなのかを、絵本の読み聞かせとともに、お話ししてくださいました。
『わたしのいもうと』(松谷みよ子/文、味戸ケイコ/絵、偕成社)『さっちゃんのまほうのて』(たばたせいいち・先天性四肢障害児父母の会・のべあきこ・しざわさよこ・/共同制作、偕成社)の読み聞かせでは、多くの受講生が涙を流していました。絵本が心に訴えかけてくる、絵本の力を実感されたのではないかと思います。絵本の力、絵本講座とは何か、絵本講師の役割や大切さを明確にすることができたのではないでしょうか。
午後の部は、川崎医科大学名誉教授でkids21子育て研究所所長の片岡直樹先生の講座でした。1歳半で、発達障害と言われてしまうお子さんが、現在10人に一人の割合でいるそうです。実際のお子さんの症例を映像とともに、説明してくださいました。
テレビやCDを一日中つけている家庭、音の出るおもちゃなどがたくさんぶら下がっている下で寝かされている赤ちゃん。今の親はこのことに何も疑問をもたないそうです。目が合わない、泣かない、笑わない、表情がなく、言葉が出ない子どもたちが、先生の指導のもと、目を合わせ、笑うようになり、表情豊かに育っていく様子をみて、電子メディアとどのように付き合っていけばよいかが、とてもよく理解できました。今の子育てに必要なものが何か、絵本講師として伝えて行く必要性をとても強く感じました。
藤井専任講師からは、日刊現代に掲載されている、むのたけじさんのお話の紹介にはじまり、今がどういう時代なのか、知らなければならないということ、飫肥糺さんがおっしゃっているように、絵本は、独立して存在するのではないから、どんな社会なのか理解し、そのうえで講座をし、語りかけ、一緒に考えることが大切であると、絵本講師としての心構えをお話しされました。
グループワークでは、テーマを決めて、絵本の紹介をしたり、午前、午後の部の講座を、自分の体験と照らし合わせ、腑に落としている方や、ほかの方の考えを聞いて、さらに自分の考えを深めるために、活発に話し合いをされていました。
今回の講座で、私自身もいろいろなことが腑に落ちました。いろんな情報に惑わされず、本質を見る目を養っていきたいと改めて思いました。(なかたともこ)
グループワーク風景
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