2023年12月16日(土)
第20期「絵本講師・養成講座」大阪会場第5編が2023年12月16日(土)、CⅠⅤⅠ研修センター新大阪東にて開催されました。冬とは思えない温かさの中、加藤美帆さん(芦屋3期)の司会で講座が始まりました。
午前は、森ゆり子理事長による講演「絵本を読んであげましょう」です。受講生を保育園児の保護者と設定し、『ちびゴリラのちびちび』の紹介で始まりました。読み聞かせは愛を伝える行為で、子どもが親に丸ごと受け入れられる時間。同じ絵本でも、幼児期には物語の中に入り込んで楽しむが、学齢期になると客観的な聞き方になる。「子どもは今日感じたことを明日頭で理解する」と言われるように、小さい時の絵本体験が大事です、と語られました。
よい絵本の条件はあるけれども、目の前の子どもをよく見て、興味関心に合った絵本を選ぶことが大切。子どもが「読んで」と持ってくる絵本や聞いている反応で子どもの気持ちや成長が分かる。「読み聞かせが苦痛」と言うお母さんが多いけれど、こうでなければならないと思い過ぎないことです、と話されました。
松居直先生とご子息の松居友氏のことばを紹介され、親が自分一人では伝えきれない、人として大切なことや多様な価値観を絵本で伝えることができる。それは人格をつくる糧となる。毎日親子で絵本を読んで「親子の回路」をつくり、心揺さぶる感情体験により心の基礎体力をつけましょう、絵本を子育ての味方にしましょう、と締めくくられました。
午後は、片岡直樹氏の講演「テレビ・ビデオ・スマホが子どもの心を破壊している」です。長年にわたる臨床経験から、順調に成長している乳幼児が電子メディアに長時間接触することで「新しいタイプの言葉遅れ」になる症例を数多く紹介してくださいました。それは予防も回復も可能だとのこと。生まれた時にはみんな白紙状態で、赤ちゃんの神経回路は親がつくる、親子のスキンシップや昔ながらの五感を使った遊びが大切だと力説されました。そして、話ことばは教えるのではなく親子間の応答環境で自然に出てくるものであり、読み書きことばは早くから教えてはいけないと話されました。また、応答環境がなければ自己認識の発達不全が起こるとのことでした。
子どもの育ちには、勤労体験(お手伝い)、挫折・困難体験、欠乏体験が特に不可欠である。大人は先回りしがちだが、子どもは小さな失敗体験を積み重ねるほど豊かに成長する。自然体験が五感を育て、人間らしい「心の理論」が脳に育つ。「ゲーム脳」の脳波は認知症高齢者の脳と同じで、前頭前野が働かない状態を示す。だから電子メディアに子守りをさせるのは危険だ、とデータや図を示して解説してくださいました。
大長咲子副理事長(芦屋1期)から最終課題リポートの書き方説明があった後は、グループワーク。講演内容や最終課題について活発に意見交換がされました。
次回は閉講式です。きっと皆さん晴れやかな笑顔で臨まれることでしょう。
(たもと・ゆきえ)
〒659-0067 芦屋市茶屋之町2-21-405
TEL 0797-38-7516
FAX 0797-38-7939