学生時代、教科書を読むことですら苦痛だった私は、子どもにはこの苦労をさせたくないという思いが強くあり、長男を出産し退院したその日から毎日読みきかせをしてきました。
生まれてからずっと絵本漬けにされた長男は、小学4年生になりました。
活字中毒かと思うくらいの本好きで、時間を見つけては様々なジャンルの本を読み楽しむ毎日を過ごしています。
そして、私が絵本を読みきかせ始めても「読むペースが遅い!」と言って、絵本を私から取り上げて、一人で読み始めてしまいます。ですから次男(年長)と三男(年少)だけに読みきかせをする日々が続いていました。
三兄弟全員に読みきかせをしたいという気持ちはあるものの、それが実現できないまま過ごしていたある日、「絵本講師・養成講座」で出会った方から、語りの本を紹介していただきました。絵もなく文字だけの語りの本の読みきかせに対し、はじめは戸惑っていた子どもたちでしたが、日を追うごとに、語り言葉から想像する楽しさを見出したようで「お耳できく絵本読んで」と、寝る前の「語りの本時間」を楽しんでくれるようになってきました。兄弟全員が私の声に耳を傾けてくれるこの時間は、私にとってかけがえのない時間となりいつも心から癒されています。
その昔、絵本がこの世にできるまでは、人から人へと語られることで様々な物語が伝えられていたそうです。子育て10年目を目前に控え、絵本の原点に戻り、語りの本を楽しんでいる今日この頃です。
(たかはし・みほ)
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