絵本のちから 過本の可能性

「絵本フォーラム」106号・2016.05.10

『絵本講師・養成講座』を受講して


絵本講座を修了して、これから……


たさき きょうこ(東京12期)

たさき きょうこ

  絵を描くことと本を読むことが好きで、絵本をつくる人になりたいと思うようになりました。けれどもなかなか上手くいかないので、いい絵本とはどういうものだろうと考えるようになり、それを知るために図書館で絵本をたくさん読むことにしました。でも読み続けていくうちに、好みも感想も偏ってきて、何が良いのか良くないのかもわからなくなってきたので、もっと深く広く絵本を勉強したいと思うようになりました。そんな頃、家の近くで絵本講師の方の講座が開かれたので、初めて聴きに行きました。  

 講師の方が、ご自身の子育ての経験も話されながら「ぜひぜひお子さんに絵本を読んであげてください」と絵本を何冊も紹介してくださって、とても真剣な気持ちが伝わってくるお話でした。聴いている人はみんな笑ったり泣いたり、「講座」というより知り合いのお母さん達で集まって絵本の話をしているという感じで、とても楽しいものだったのです。

 実は「絵本講師・養成講座」のことは、10年ほど前から知っていて、気にはなっていました。でも絵本講師というものが、どういうものなのか具体的にわからなかったので、今まで受講を考えませんでした。けれども実際に絵本講座を聴いて、私もぜひやってみたい! と思ったのです。私は人前で話すことがとても苦手です。でも私自身子どもに絵本を読むことで、幸せな体験をいくつもしました。それは絵本を読まなければ味わえなかった幸せです。そんなことを子育て中のお母さん達に話してみたいと思うようになったのです。

  講座を受けたいと、家族に費用や時間のことなどを相談しました。夫は私の気持ちを理解してくれて、子ども達も一緒に応援してくれました。とても感謝しています。

 講座が始まると、毎回いろいろな方のお話を聴くことが出来ました。本当は、眠くなってしまうのでは……と少し心配していましたが、どの先生も熱意を持ってお話しされているのが感じられて、いつも時間が来て終わってしまうのが残念なくらいでした。 課題リポートは大変でしたが、毎回ていねいな講評とご指導を頂き、絵本を上手に読む自信がないけれど大丈夫だろうか? とか、絵本を読んで何になるの? と誰かに言われたら何て答えたらいいんだろう……などの私の不安や疑問をひとつずつ取り除いてくださいました。最後の課題は、私が今できる全ての力を出して頑張ったつもりでしたが、出来上がってみると未熟なものに思えて、今の自分の力不足を痛感しました。けれども、ここから成長できるようにと願いながら提出しました。

 グループワークでは、初めて会う人ばかりで一回目はとても緊張しましたが、回を重ねるごとにお話しするのがどんどん楽しみになりました。毎回テーマを決めて絵本を持ち寄るようになると、それぞれが全く違う絵本を選んで来て、それがとても面白く思えました。

 養成講座を通して私が強く感じたことは、「絵本で子育て」センターの方々、講義をしてくださった先生方、全ての方が絵本に対して大きな敬意を持っていらっしゃるということです。改めて絵本の素晴らしさを学ばせて頂き、私もこれから敬意を持ちながら、ずっと絵本のそばで生きていきたいと思っています。講座は修了しましたが、今ここから始まるのだと感じています。最初は、小さな子どもを持つ知り合いのお母さん達に声をかけて、小さな絵本の会を開こうと考えています。やってみるときっと、思いもよらなかった反応があったり、行き詰ったりすることもあると思います。でもそんなこともひとつひとつ経験しながら、絵本講師の道を歩いていきたいと思っています。そしていつか自分の絵本講座で自信を持って紹介出来るような絵本をつくりたい、そんな願いも持っています。
(たさき・きょうこ)


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