私の絵本体験記

「絵本フォーラム」113号(2017年07.10)より

「絵本に感謝」

小合 寛美 (兵庫県芦屋市)

絵本に感謝 私にとって「絵本とは?」、と考えてみると「絵本に感謝」という言葉が浮かびます。

 私には10歳の娘と、9歳になったばかりの息子がいます。主人の仕事の都合で娘が4カ月の頃から4歳まで4年間を台湾で過ごしました。日本にいなかったので、子育てに関するさまざまな情報に触れることもあまりなく、自分のペースで楽しく子育てをしていたような気がします。図書館には日本の絵本がほとんどありませんでしたが、両方の祖父母が孫のためにと、時々日本から絵本を送ってくれました。おかげで、我が家の絵本は少しずつ増えていきました。寝る前に子どもたちと好きな絵本を繰り返し楽しんで読んでいたことが、今でも私の大切な思い出です。

 子どもたちはピーターパンのお話が大好きで何度も絵本を読んでは、ピーターパンごっこをしていました。ベッドが船で、主人はフック船長やワニの役。娘はウェンディーで息子がピーターパン。タオルケットは海や波。今思うと、物語が身体に沁み込んでいたからこそできた素晴らしい遊びだったのだと思います。

 大きくなった娘は一人で本を読み、物語の世界を楽しむようになりました。息子は一人でサッカーの本を読んだり寝る前には私と一緒に絵本を読んだりする毎日です。

 私の子育てを支えてくれて、子どもたちが心も言葉も豊かに育ってくれたのは絵本のおかげだと感謝の気持ちでいっぱいです。きっと絵本がこれからも私を支えてくれるでしょう。そして、絵本を通して素晴らしい出会いが待っているような気がします。
(おごう・ひろみ)


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