私の絵本体験記

「絵本フォーラム」118号(2018年05.10)より

「家族のなかに絵本がいつも……」

門脇 真弓 (千葉県香取市)

家族のなかに絵本がいつも いつの頃からか、もう寝る時間だから、と寝室にむかう時に、「これ読んで」と娘から絵本を渡されることが日常となっています。4歳になったばかりの小柄な娘が、時には4冊も5冊も重そうに抱えてくるのです。その姿は可笑しくも愛らしくて、ついつい笑顔になってしまいます。
 パパが早く帰宅した日は、パパが読み聞かせをします。パパも絵本が大好きです。1歳8ヶ月になる息子がまだお腹にいるとき、『ちょっとだけ』(福音館書店)を私が買ってきました。主人公の「なっちゃん」は「おねえちゃん」になります。赤ちゃんのお世話にかかりきりのママ。甘えたい気持ちを我慢して、これまでママにやってもらっていたことに一人で挑戦してみる「なっちゃん」。そんな健気な姿に、これからの娘のことを重ねたのでしょう。読み聞かせを終えたとき、涙ぐんでいたのはパパの方でした。  

 大概の絵本に興味を示した娘と違って、息子は全く正反対。『いないいないばあ』(童心社)が好き、というより『いないいないばあ』だけが好きでした。一年以上、来る日も来る日も『いないいないばあ』。一日何回も何回も『いないいないばあ』。娘と息子に愛された我が家の『いないいないばあ』は、だいぶくたびれた姿になってしまいましたが、買い換える気にはなれない思い出の詰まった一冊です。

  私たち家族の子育ての側に、いつも絵本がありました。子ども達にとっての良き友達というだけではなくて、親の方にも喜びや幸せに満ちた時間をもたらしてくれるのが絵本です。これからも絵本と一緒に子育てを楽しんでいきたいと思っています。
(かどわき・まゆみ)

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