私の絵本体験記

「絵本フォーラム」121号(2018年11.10)より

「父と子の絵本タイム」

 佐々木 有希子  (大阪府)

父と子の絵本タイム 佐々木 有希子 我が家の絵本の読み聞かせは妊娠中に始まりました。双子の妊娠が分かって数ケ月したある日、突然夫が私のお腹に向かって絵本を読み始めたのです。元々私は絵本が好きで結婚当初から絵本は何冊もあったのですが、夫が手に取ったことはありませんでした。そんな夫の読み方があまりにも下手で私は笑いをこらえるのに必死。でも、その日から出産のために入院するまで毎日絵本を読んでくれたので、生まれる頃にはとても上手に読み聞かせができるようになっていました。  

 生まれて2ケ月の頃からは私も読み聞かせを始めました。初めて子どものために買ったのは長新太さんの『わんわんにゃーにゃー』と『プアー』(ともに福音館書店)でした。その頃から、寝る前の読み聞かせはほとんど欠かさず今も続いています。今は小4の息子たちは大抵何でも読めますが、自分で読んだ本でも読んでもらうと違うのだそうです。それも絵本の読み聞かせが「聞いてイメージする力」を養ってくれたからかなと思っています。

  絵本の思い出と言えばもう1冊。山本忠敬さんの『ブルドーザとなかまたち』(福音館書店)は子どもたちが大好きで、あぐらをかいた夫の足の間に体を寄せ合って座り、何回も何回も、それこそ1時間以上も繰り返し読んでもらっていたことがありました。それでも途中でもう嫌だと言わなかった夫。絵本が夫を父親にしてくれたと言っても過言ではないかもしれません。今もとても仲良しな父子を見て心からそう思っています。 
 (ささき・ゆきこ)

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