絵本のちから 過本の可能性

「絵本フォーラム」123号

2019.03.10

第15期『絵本講師・養成講座』を受講して


絵本の良さを再認識した1年間

吉村 梓(芦屋15期生)

よしむら・あずさ 「絵本講師・養成講座」を受講することは、私にとって大きなチャレンジでした。ほとんどの時間を一緒に過ごしていた2歳になったばかりの娘と終日離れる事への不安、夫に娘を一日託すこと、そして絵本の知識も乏しい私が講座についてゆけるか、多くの不安を抱えながら大阪会場に向かったのを覚えています。

 初めての子育ての中で、私は絵本に何度も助けられ、娘と絵本を通して心かよわせる時間の楽しさを味わい始めていました。絵本のことをもっと知りたい学びたいという気持ちが強くなり、受講を決めました。

 会場に入るとスタッフの方々が温かな笑顔で迎えてくださり、不安な気持ちもほぐれました。そして、久々に子どもを通さない社会に自分が戻ってきた気にさえなりました。

  講演は、様々なジャンルの講師により今まで知らなかった絵本の魅力、楽しみ方、子どもたちへの関わり方などを学びました。色々なことに気づき考える事で“学ぶ面白さ”を再発見しました。

 また、グループワークでは年齢や立場の違う方々と絵本という共通のもので繋がりました。絵本の面白さ、子育ての面白さ大変さを含めた様々な話は子育て真っ最中の私にはためになるものばかりでした。

 そして、藤井勇市専任講師のお話が忘れられません。「政治に無関心でも無関係ではいられない」。この言葉を聞くたびに背筋が伸びる思いでした。子どもたちを取り巻く社会にも一層関心を持つようになりました。

 私は、春に出産を控えています。里帰り出産のため、いつもとは違う環境の中で生活をする娘のために数冊絵本を持参しました。寝る前のいつもの絵本の時間が娘の不安を軽減しているようです。私と娘に絵本の時間があってよかったと心から思っています。いつかこの経験も含めて「絵本で子育て」する喜びを多くの人に伝えていけたらと思います。
(よしむら あずさ)


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