私の絵本体験記

「絵本フォーラム」124号(2019年05.10)より

「読み聞かせに支えられて」

佐藤 陽子  (大阪府)

佐藤 陽子 子育てって悩みの連続、本当に一筋縄ではいかない。いつも笑顔の優しい母でいたいのに、出てくる言葉は「だめ!」「早くして~」の繰り返し。反省の日々です。  

 そんな私ですが、子どもが生まれたら絵本を読んであげたいと思っていたので、読み聞かせだけは毎日のように続けてきました。その読み聞かせが、こんなにも私の育児を支え、励ましてくれる存在になるとは思ってもみませんでした。

  「あぁ、素敵だな、こうありたいな。」と思う親の姿が絵本の中にはたくさんあります。子どものいたずらやわがままを怒ることなくユーモラスな会話でかわす、『けんた・うさぎ』(のら書店)のうさぎ・かあさんとうさぎ・とうさん。読んで、真似して、私と子どものやりとりがぐっと豊かになりました。『にこにこ エマ』(童話館出版)を読むたびに、子どもってこういうものだよねと懐が大きくなりました。『しりたがりやのこぶたくん』 (童話館出版)のお母さんの「ひとりでいたいの」には、子どもとの日々に時として疲れてしまうのも私だけじゃないとどれだけ励まされたことか。

 子どもたちも、なにげない日常を切り取った絵本が好きです。いたずらをしたりわがままを言ったりしても、ちゃんと愛されている主人公に自分を重ねているのかな。 

 子どもたちは、小学4年生と1年生になりました。寝る前の読み聞かせはまだ続いています。「本読んでくれないと寝られない」なんて、いつまで言ってくれるのでしょうか。もう少し続けさせてと願う母です。
(さとう・ようこ)

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