私の絵本体験記

「絵本フォーラム」124号(2019年05.10)より

「親子のしあわせ絵本時間」

末森 純子  (兵庫県)

末森 純子 私の子育てのやり方は正しいのか? これでこの子はちゃんと育つのだろうか? 私のはじめての子育ては孤独と不安でいっぱいでした。インターネットや育児本に書かれていることと我が子を比べては一喜一憂する毎日。子どもと遊んでいても、今の月齢ならばこの遊びができるはずなのに、とまた悩み……。ふと、幼い頃にいつも母が絵本を読んでくれていたことを思い出し、絵本を手に取ったのはそんな時でした。読み聞かせの時間はとても楽しく、不安から解放され、子どもとのしあわせな時間を味わうことができたように感じました。それからは毎日読み聞かせを続け、5年以上経った今でも、その習慣は欠かしません。

  絵本を読むことで得られるものは、知識や語彙の習得だけではなく、絵本を読む時間そのものが、親子にとってかけがえのない時間になることだと思います。私が幼い時に読み聞かせをしてもらっていたのはいつも寝る前で、私が眠っても母にずっと横にいてほしくて、母の洋服の裾をぎゅっと握って話を聞いていました。でも母の声がとても心地よく、いつのまにか眠ってしまうのでした。その記憶はあたたかく、しあわせなものとして私の中に残っています。

  今私が読み聞かせをしているのは1歳と5歳の息子たち。毎日電車の本ばかりで辟易しそうになりますが、いつか、しあわせな記憶として彼らが思い出してくれることを期待しつつ、母は今、しあわせな気持ちで読み聞かせをしているのです。
(すえもり・じゅんこ)

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